経営陣は16歳・19歳・20歳。「宇宙の電力会社」スタートアップが設立6か月で4.7億円集めた
Zero Industries(ゼロ・インダストリーズ)が、約300万米ドル(日本円で約4.7億円)の資金を調達した。2026年3月に日本法人を設立したばかりのこの宇宙スタートアップは、経営陣が16歳から20歳の3人で、リード投資家は前澤ファンドである。
同社の最初の事業は「Helios(ヘリオス)」で、宇宙で発電した電力をレーザーで軌道上の衛星へ送るものだ。現在の衛星は搭載した太陽電池パネルで発電しているが、地球の影に入ると発電できないため、重い電池も背負っている。外部から電力を受けられれば、パネルと電池を小さくでき、その分を観測機器や推進系に回せるというのが同社の発想である。リリースによれば、まずは地球観測衛星などを対象とし、その先に宇宙データセンターや月面基地を見据えている。足元の計画では、2026年秋から2027年春にかけて浜松の光産業創成大学院大学と共同研究を行い、受電素子の評価や屋外での送電実験を進める。2027年後半には軌道実証機を設計し、2030年に初号機で衛星間送電の実証を目指す。工程は結果を見ながら更新するとされている。
この事業の意味は、宇宙の電力を「衛星が自前で持つもの」から「外から供給されるもの」へ変えうる点にある。実現すれば、衛星の設計思想や軽量化の要求、搭載機器の配分が変わる可能性がある。ただし、地上でのレーザー給電でも、2025年にNTTと三菱重工が1km先への送電実験に成功した段階にあり、数百km先の衛星に光を届ける課題は別の難しさを含む。レーザーの耐環境性や指向精度、受電側の効率は、リリースの範囲では実証されていない領域だと考えられる。2035年に地上での発電を不要にする、2150年にダイソン・スウォームを完成させるといった長期ビジョンは、現時点では構想の段階である。
日本の製造業や部品サプライヤーにとっても、関わりうる余地は小さくないと考えられる。受電素子やレーザー関連の光学部品、宇宙環境に耐える素材や筐体、精密な指向制御機構などは、試作と評価を繰り返す段階で必要になるだろう。経営陣の周囲には、三菱重工業で宇宙太陽光発電やH-IIロケットに関わった人物が助言者として名を連ねており、既存の宇宙サプライチェーンとの接点も見えている。まずは浜松での共同研究の進捗や、軌道実証機の仕様が公開されるかを注視し、評価試験の段階から相談に乗れる体制を整えておくことが現実的だ。一方で、2030年の実証までの道筋は追加の資金調達が前提になる可能性があるため、取引先としての見極めには慎重さも必要である。
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出典:ギズモード・ジャパン
