「パスポートサイズ」の需要はどこに? 折りたたみスマホの意外なメリット
折りたたみスマホの主流がパスポートサイズの「横開き」設計にシフトしており、従来の「縦開き」から乗り換えるユーザーが前年比で3倍に達する勢いで急増している。サムスンの「Galaxy Z Fold8」がこのトレンドの先頭に立ち、ファーウェイやモトローラも同様のコンセプトへの対応を加速させている。この新たな標準化の波は、部品・素材メーカーに対して従来とは異なる技術要求をもたらそうとしている。
このシフトが起きた理由は、パスポートサイズの横開き設計がコンテンツ閲覧の快適性で決定的に優位にあるからだ。Galaxy Z Fold8は開いた状態で約7.6インチのメインディスプレイを持ち、そのアスペクト比が4:3に設計されている。この比率により、ニュース記事や写真の多いウェブサイト、横長の動画視聴など、従来のスマートフォンでは実現できなかった快適性が実現された。同時に、閉じた状態では約5.5インチのカバー画面で短いニュース閲覧に対応し、ポケットにも収まるコンパクト性を保つ。ユーザーは片手でカバー画面の端まで操作でき、本体が従来モデルより軽量化されたことで開き閉じの操作性も向上している。開いた時のスタンド機能も含め、「過去7年の折りたたみスマホの中では最も開く頻度が高い」というレビューが出るほど、使用形態が従来製品から大きく変わっている。
このカテゴリの確立と急速な市場展開は、部品・素材サプライチェーンに新たな要求を生み出している。パスポートサイズの横開き設計を実現するには、従来の折りたたみスマホと異なる精密なヒンジ機構、より軽量で開きやすい駆動メカニズム、折り目が目立ちにくい有機ELディスプレイ技術が不可欠となる。バッテリーの長時間化、高密度の排熱設計、ステレオスピーカーやセンサーの最適配置、耐久性を持つ折りたたみ部分の潤滑材料など、従来製品とは異なる仕様が全体的に要求される。複数メーカーの同時進行で仕様が統一されていく可能性が高いことから、この需要は一時的なトレンドではなく、今後の折りたたみスマホの標準仕様になっていくと考えられる。
日本の部品メーカー・素材メーカーにとって、このシフトはビジネス機会と技術課題の両方をもたらす。精密ヒンジ、ガイドレール、折りたたみ部分の潤滑・耐摩耗材料、軽量高剛性素材、微細加工技術など、従来よりも高度な要求仕様が求められるポジションが複数出現する。同時に、複数メーカーの競争が進めば部品の標準化と量産化が加速し、参入障壁は高いが市場が急速に拡大する可能性がある。宇宙産業で培われた極限環境での材料挙動の知見や精密加工技術が、スマートフォンの次世代部品開発にも転用され得ることを考えると、異分野の先端技術の融合が新しい成長市場を形成する局面が到来しつつある。
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出典:ギズモード・ジャパン




