イーロン・マスクがスペースXの「初決算説明会」で残した、最も注目すべき5つの発言
スペースXが米国での上場後、初となる決算説明会を開催し、イーロン・マスクCEOが企業の急速な成長見通しと壮大な事業展開構想を語った。これらの発言は単に宇宙産業にとどまらず、グローバルなサプライチェーンと製造業全体に与える影響が大きい。製造業にとって重要なのは、スペースXの拡大の勢いが部品・装置・素材の需要をどのように変えるかという点である。
スペースXの上半期収益は125億ドルで前年同期比54%の成長を記録しており、マスクはアナリストに対して社内予測では1兆ドルの収益達成が当初見通しの2031年から2030年へ前倒しになると述べた。さらに2029年に達する可能性さえ言及している。比較のため、上場企業で最大の売上を誇るウォルマートとアマゾンの直近通期売上がそれぞれ7060億ドル、7170億ドルであることを踏まえると、この目標の野心的さが明らかである。マスク自身、過去に期限達成で外れることが多く、2018年に「スケジュール通りとは限らない」と認めているが、スペースXの現在の成長ペースと収益性は従来のロケット産業の常識を大きく超えている。
マスクが特に力を入れて述べたのは、データセンター建設の相対的な容易さである。「ロケット科学ではない」「自ら粉々に爆発しようとする」ロケット開発をこなすエンジニアにとっては「些細な問題」に過ぎないと彼は述べた。この発言の背景にあるのは、世界のビッグテック企業がAI革命を支えるデータセンター建設に数千億ドルを投じているという現実である。マイクロソフト、メタ、アマゾン、アルファベット、オラクルなど主要企業がマイクロチップ、電力、水への膨大な需要を生み出し、グローバルなサプライチェーンが逼迫している。この逼迫は電力網や貯水池にも圧力をかけており、高度な部品・装置・素材を供給する日本の製造業にとって新規受注の機会と同時に、材料調達難への対応という課題が発生することになる。
スターリンク(スペースXの衛星通信部門)については、マスクが10年以内に「少なくとも運営が認められている国々において」世界のインターネットの大半を提供する可能性があると述べた。衛星通信は既に航空機や船舶、僻地のインターネット提供で主要なプロバイダーとして台頭しており、この領域が急速に拡大すれば衛星本体と関連する通信機器・部品への需要が大きく増加する。加えてマスクは、スペースXが月面に工場を建設する見通しに言及し、「地球経済の1000倍、あるいは100万倍までスケールできる可能性がある」と述べた。この発言は遠い未来の構想であっても、宇宙での製造活動が現実の事業選択肢として企業レベルで検討され始めたことを示唆している。
日本の製造業・部品サプライヤーにとって、スペースXの急速な拡大と宇宙産業への投資増加は、供給チェーン内での需要増加の機会と、競争激化や納期短縮、品質要求の厳格化という課題の両方をもたらす。当面の経営課題として、データセンター向けの電力関連部品についての争奪戦への対応と、衛星・ロケット・月面インフラ建設に向けた新規部品開発への準備が必要となる。スペースXの掲げる目標達成のスケジュールが若干ずれたとしても、宇宙産業全体の投資規模は急速に増加することが予想される。これらの変化への対応力によって、今後のグローバルな宇宙産業サプライチェーン内での位置づけが大きく分かれることになるだろう。
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出典:ギズモード・ジャパン