エイリアンからの信号は、古い望遠鏡データの中に隠れているかも?
SETI研究者たちが、これまで探索の中心としてきた周波数帯域の外側に目を向け始めた。イギリスのマンチェスター大学の研究チームが、チリの大型望遠鏡ALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)が過去に集めた観測データを新しい角度から再分析することで、これまで手つかずだったミリ波・サブミリ波帯域における地球外からの信号探査という、全く新しい可能性を切り開いている。
地球外知的生命体からの信号を探すSETI研究は、これまで「ウォーターホール」と呼ばれる特定の周波数帯域(1.42〜1.66GHz)に集中してきた。この帯域は宇宙ノイズが少なく、水素と水酸基の放射・吸収周波数と重なることから、水を必要とする生命体が通信に使う可能性があると考えられてきたからである。しかし今回の研究では、その常識の外側にあるより高周波の領域に注目している。具体的には、90GHz台と93GHz台という、従来のSETIではほぼ探索されてこなかった狭い帯域である。より高周波の帯域が候補になる理由は、より指向性の高い通信が可能であり、自然発生的な電波とは異なる意図的で集中度の高い信号を検出しやすいと考えられるからだ。
研究チームが着目したのが、既存の観測データの再利用という戦略である。ALMAは数十年にわたって膨大な観測データを蓄積してきたが、これらは当初、天文学的な別の目的で収集されたものだ。マンチェスター大学のLouisa Masonらは、このアーカイブデータを新しい観点から分析することで、膨大な「潜在的な探索対象」を発見した。ALMAのデータが備える高い分解能と広い視野により、研究チームは従来の探査では到達できなかった微細な周波数帯域を調べることができるようになった。また、当初の観測では狙っていなかった恒星系のデータまで含まれていることも明らかになり、Masonらはこれを「狙っていなかった恒星」と呼んでいる。さらに、チームは欧州宇宙機関(ESA)のガイア衛星の観測データも組み合わせ、銀河のシミュレーションモデルとの対応づけを進めており、これによって探査の体系性と効率が大幅に向上する可能性があると期待されている。高周波の観測とシミュレーションを組み合わせることで、既に探査が終わった領域と、次に見るべき領域の区別がより明確になるということだ。
この研究アプローチが示唆するところは、科学研究における既存インフラの活用の重要性である。ALMA自体が複数国による大型国際プロジェクトであり、その運用には高度なミリ波・サブミリ波観測技術が求められている。こうした高周波技術の進化は、宇宙天文学の領域にとどまらず、衛星通信やセンサー分野での民間利用も拡大していくと考えられており、関連する部品・装置・素材の需要も増えていく可能性がある。日本の製造業・部品サプライヤーにとって、こうした高周波観測技術の動向は、将来の市場機会を示唆するものとなっている。
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出典:ギズモード・ジャパン




