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太陽電池が使えなくてもOK。商用初の原子力衛星「BOHR」、宇宙へ旅立つ

スペースXのファルコン9ロケットにより先月7日、81基の衛星が相乗りミッションで打ち上げられた。その中には世界初の商用原子力衛星が含まれていた。米フロリダのCity Labs社が開発した「Betavoltaic Orbital High-Reliability(BOHR)」という名称のキューブサットで、軌道投入に成功している。

従来の衛星は太陽電池とバッテリーを主な電源としてきたが、BOHRは原子力を搭載する画期的な存在だ。商用衛星での原子力発電は今回が初めてであり、CEOのピーター・カバウ氏は「宇宙における商用原子力発電の実用に向けた歴史的な1歩」とコメントしている。 BOHRに搭載されているのは「ナノトリチウム」と呼ばれる新技術で、トリチウム(三重水素)の崩壊から継続的に電力を生成するベータボルタ電池である。

従来の化学電池は保存できるエネルギー量に限度があるのに対し、この技術は低レベルの電力を自然崩壊から長期間にわたって安定的に供給できる。そのため交換や定期メンテナンスなしに長期運用が求められる衛星に最適だとされている。ただし今回のBOHRではメイン動力は従来通りソーラー発電を使用しており、ペイロードのデモンストレーション部分だけがナノトリチウムで電力を得ている。

商用初実現のため、まずは小規模な試運転を行い、太陽光がない条件下でも計器を継続稼働させられることを実証するのが優先となっているのだ。 原子力自体は数十年前からある技術で、NASAも火星探査機パーサヴィアランスやボイジャー、ニューホライズンなどでプルトニウムの崩壊熱を動力源として活用してきた。公的機関による実現例は世界中に存在する。

しかしカバウ氏は商用段階での初実現の意義を強調し、「次段階に推し進めるためには商用でなければならない」と述べている。BOHRは米連邦航空局(FAA)から昨年9月に初めて認可された商用原子力搭載機でもあり、今回の軌道投入成功は後続ミッションへの道を開く重要な実績となった。 City Labs社が次に目指すのはナノトリチウム技術をより高い軌道へ展開することだ。

計画が実現すれば、これまで飛行不可能だった領域まで宇宙船を到達させることが可能になる。特に注目は月である。NASAが関心を寄せる月の南極地域には太陽の当たらない永久陰領域が存在し、従来の太陽光発電では対応できない環境だ。

同社は月の基地や輸送インフラへの電力供給を視野に入れており、この技術が月面活動の拡大に貢献できるポテンシャルを持つと見ている。BOHRのミッションはまだ未来への一歩に過ぎないが、宇宙産業の転換点となる可能性を秘めている。

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出典:ギズモード・ジャパン

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