超黒塗料「ベンタブラック」で人工衛星の光害を大幅に軽減できることを実証
イメージ 英サリー大学の研究チームは、超黒塗料「ベンタブラック310」を人工衛星の表面に塗ることで、太陽光の反射を大幅に軽減できることを実証した。この塗料を塗った衛星は太陽光のわずか2%しか反射せず、地上からはほぼ見えないほど暗くなる。スペースXのスターリンクを始めとした通信衛星の大量打ち上げに伴い、人工衛星からの光が夜空を明るくする光害が天文観測の大きな障害となっているが、この研究はその解決に向けた実用的な技術を示すものである。
研究成果は『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』誌に掲載された。 地球低軌道には現在1万4000基を超える人工衛星が存在し、今後170万基以上が打ち上げられる見通しとなっている。人工衛星の本体は金属製で、太陽光を反射して明るく光る。
この反射光は地上の天体望遠鏡の視野に細長い筋や強い閃光として横切り、微かな小惑星や遠方の銀河の観測を困難にする。特に広い視野で撮影する観測では、明るい衛星の光が写り込むことで暗い天体を検出できなくなってしまう。これが人工衛星による光害であり、天文学の進展に深刻な影響を与えている。
ベンタブラックは光をほぼ反射しない素材として2014年に開発され、2016年には液体塗料化された。その後さらに改良されたベンタブラック310は、ケイ素と酸素を主成分とし、地球低軌道で漂う酸素原子との反応に強い性質を持つ。従来の黒い塗料はポリウレタンが主成分のため酸素により劣化しやすかったが、この新しい塗料はその問題を克服している。
実験では、塗料の表面は電子顕微鏡で見るとサンゴのようなくぼみで覆われており、光がこのくぼみに入り込んで外へ反射しない構造になっていることが明らかになった。国際天文学連合が推奨するAB等級7(基準値)に対して、ベンタブラック310を塗った衛星はほぼこの基準を達成する暗さになる一方、従来の衛星は基準よりも大幅に明るい。 研究チームは今回の実験が光吸収性能の検証に留まっており、宇宙での実装時の熱放散やコーティングの耐久性はまだ確認されていないと述べている。
サリー大学、ポーツマス大学、サウサンプトン大学が進める小型衛星ジョヴィアン-1にベンタブラック310が塗られ、2026年の打ち上げが予定されている。この実証衛星により、宇宙の厳しい環境でも塗料が機能し、地上から衛星の明るさの変化を測定できるかが試される。光害の問題が指摘される段階から実用的な解決策が実装される段階へ進む契機となる研究である。
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出典:カラパイア



