土星衛星エンケラドゥスで生命が見つかる可能性がさらに高まった!氷の粒が鍵に
イメージ 土星の衛星エンケラドゥスで、生命の痕跡を探す科学的な根拠が大きく強まった。氷の下の海から噴き出す水柱が宇宙空間でゆっくり凍り、その過程で微生物や有機物の成分が高い濃度で分離されることが判明し、さらに同じ環境で地球の微生物が実際に生存できることも確認されたのだ。
エンケラドゥスは直径約500kmの土星衛星で、表面は厚い氷に覆われている一方、その下には液体の海が存在し、海底では熱水活動が起きていると考えられている。この衛星が注目されてきた理由は、水と有機物、そして化学反応を生む熱—生命維持に必要な三要素がそろっているからだ。10年以上前にNASA探査機カッシーニが衛星の氷の割れ目から噴き出すプルーム(間欠泉のような水柱)の中を飛行した際、微量の塩分や有機化合物が検出されており、生命の可能性は古くから指摘されていた。
ベルリン自由大学のフランク・ポストベルク教授らの国際研究チームは、カッシーニのデータと実験室実験を組み合わせ、重要な発見をした。これまで科学者たちは、水滴が割れ目から宇宙に噴出する際に瞬時に凍りつくと考えていた。しかし実際には、より遅い速度で凍結が進む。この過程で水滴に含まれる塩分、有機化合物、そして仮に微生物がいればその痕跡が、それぞれ分離されるという。最大時速1000kmまで加速した氷の粒が割れ目の壁に衝突すると、数マイクロメートルの小さな破片に砕けて宇宙へ放出される。つまり、エンケラドゥスは自らの海の成分を成分ごとに「仕分けした天然のサンプル」として宇宙に放出しているということになる。微生物由来の物質があれば、それは一部の氷の粒だけに高い濃度で含まれ、既存の分析技術でも比較的容易に生命の痕跡を特定できる可能性があるとポストベルク教授は述べている。
並行して、ドイツのミュンヘン大学の研究チームはポストベルク教授と共同で、エンケラドゥスの海を実験室内に再現し、そこで実際に生命が生存できるかをテストした。エンケラドゥスの海はpH10~11の強いアルカリ性で、酸素がほとんど存在しない。研究チームはこの条件に加え、海水と海底の岩石との化学反応も再現した模擬環境を作った。そこに、日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)が沖縄トラフの深海熱水噴出孔から採取した微生物「メタノサーモコッカス・オキナウェンシス」を加えた。この微生物は酸素を必要とせず、水素と二酸化炭素からメタンを生成する独特な代謝を持っている。驚くべきことに、この地球の深海微生物は、エンケラドゥスを模した過酷な環境にうまく適応し、生き延びることができた。二酸化炭素が少ない状態でも、水と岩石の反応で生まれた水素を使ってメタンを作り、生命を維持できたのである。
こうした二つの研究成果により、地球外生命体の発見に向けた探査ミッションへの期待が高まっている。現在、欧州宇宙機関(ESA)などが将来のエンケラドゥス探査ミッションを計画中である。探査機がプルームを通り、成分ごとに分かれた氷の粒を個別に分析できれば、人類が地球外生命体の証拠を手にする日が訪れると考えられる。日本の製造業・部品サプライヤーにとって、こうした宇宙探査機の開発は、高真空環境での精密計測装置や、極低温での耐久性が求められる部材・センサーなど、技術的な貢献の場となる可能性を持っている。エンケラドゥスへの探査ミッションが実現すれば、それに必要とされる部品や素材の開発は、日本のものづくり産業の新たな領域となりうるのだ。
※ 内容の紹介はここまでです。続きは元記事をご覧ください。
出典:カラパイア




