太陽系外の地球型岩石惑星で初めて大気を発見、ヘリウムが流出していたことを確認
イメージ 太陽系外の岩石惑星としては初めて、ハビタブルゾーン内にある惑星「LHS 1140 b」の周囲に大気が存在することが確認された。ハーバード大学の研究チームが、この惑星から流出するヘリウムガスを検出したもので、地球を超えた遠い宇宙で、生命を支える可能性のある環境が実在することを示す重要な発見である。
LHS 1140 bは地球から約48光年離れたくじら座方向にあり、太陽より小さく低温の赤色矮星「LHS 1140」を公転している。この惑星が位置する領域は「ハビタブルゾーン」と呼ばれ、主星からの距離がちょうど適切で、表面に液体の水が存在できる温度に保たれた環境にある。液体の水は生命の必須条件であり、ハビタブルゾーン内の岩石惑星は長年、生命探査の最有力候補とされてきた。しかし天文学者は数千の系外惑星を発見しながらも、実際に大気を持つハビタブルゾーン惑星がどれほどあるのかを確認することは極めて困難な課題として残されていた。20年前には地球に似た岩石惑星が他にも存在するか否かさえ不明であり、その大気の有無を調べるなどは想像すら難しかった状況から考えると、今回の確認は観測技術の大きな進展を象徴している。
研究チームの観測方法は、惑星が主星の手前を横切る際に、主星の光が惑星の大気を通過するとき、特定の波長が吸収される現象を利用するものである。2024年9月23日の観測では、LHS 1140 bと同じ主星を公転する別の惑星LHS 1140 cが偶然にも同時に主星の前を横切るという極めて稀な好機に恵まれ、チリのマゼラン望遠鏡による赤外線分光分析によってLHS 1140 bからのヘリウム流出が検出された。同じ条件下でもLHS 1140 cではヘリウムの流出が見られなかったことが、観測結果の信頼性を強めている。ただし課題も残されている。ヘリウム流出の検出量は時期によって変動しており、2024年は観測されたが翌2025年には検出されなかった。このため、LHS 1140 bが長期にわたって安定した大気を保ち続けているのか、あるいは断続的にガスを放出しているだけなのかは、今後のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による観測などを通じて明らかにする必要がある。研究チームは大気の存在そのものは確認されたとの立場を取り、水の痕跡発見などで生命存在の可能性をさらに検証していく方針である。
宇宙産業の観点からは、この発見が持つ意味は複数ある。赤外線分光技術による微弱な大気信号の検出が可能になったこと自体が、計測・分析機器の技術進展を示している。このような系外惑星観測の実現には、精密な光学系、高精度のセンサー技術、分光器用の高度なコンポーネントが不可欠であり、生命が存在できるか否かを判定するための観測精度の向上要求は、宇宙用部品や装置全体の性能向上を促す駆動力となりえる。日本の部品・装置・素材メーカーにとって、このような大型観測施設の運用や次世代観測機器の開発に貢献する技術領域は、今後の成長機会を示唆するものである。
※ 内容の紹介はここまでです。続きは元記事をご覧ください。
出典:カラパイア