巨大惑星がダークマター検出器になり得る
ダークマターは、宇宙の物質の大半を占めるとされながら通常の物質とほとんど相互作用しないため、地球上の地下実験でも直接とらえるのが難しい。米プリンストン大学のCarlos Blancoらの研究チームは、木星などの巨大惑星の大気で観測される紫外線の輝きの一部が、ダークマターと通常物質の間接的な相互作用によって生じている可能性を検証し、この相互作用の強さについてこれまでで最も厳しい制約を与えた。成果はPhysical Review Lettersに掲載され、太陽系の巨大惑星を天然のダークマター検出器として利用できる可能性を後押しするものとなった。
夜空が完全な暗闇にならない現象は「大気光(エアグロー)」と呼ばれ、2000年以上前から知られてきた。昼間に太陽放射で電離した大気分子が夜間にかけて再結合し、光子を放つことで生じる。Blancoらは2024年、これとは別に、巨大惑星の内部でダークマター粒子が対消滅する際に生じうる大気の輝きを提唱していた。
太陽系が銀河を公転する過程で木星のような惑星が多数のダークマター粒子を捕獲し、その対消滅で放出されるエネルギーが周囲の水素分子を電離させ、生成された三水素イオン(H₃⁺)が赤外線を放つという筋道である。 今回の研究では、赤外線ではなく、電離の過程で生じる高エネルギー電子が水素分子を直接励起し、紫外線を放出させる可能性に着目した。H₃⁺に依存する赤外線信号は個々の惑星大気に固有だが、紫外線の輝きはすべての巨大惑星で一度に探せる利点がある。
太陽光に埋もれるのを避けるため惑星の夜側に注目し、ボイジャー1号・2号やニューホライズンズが木星・土星・天王星・海王星に接近した際のフライバイ観測を用いた。予測されるダークマター由来の信号が実際に観測された紫外線の輝きを上回らないことを条件に、通常物質との相互作用に対する最も厳しい制約を導いた。 この手法は、地下実験では到達できないパラメータ領域、とりわけ極めて軽い粒子や、地表に届く前に止められてしまう強く相互作用するダークマターを探れる点で優れている。
感度は陽子質量付近の粒子で最も高く、四つの巨大惑星は大きさ・温度・組成が異なるため、それぞれ異なる質量やモデルを調べられる。一方で、惑星の熱によって最も軽い粒子が観測可能な信号を生じる前に逃げてしまい、感度が下がる恐れも指摘された。研究チームは、2031年に木星周回軌道へ入る予定で紫外線分光計を搭載するESAのJUICE探査機や、天王星・海王星を再訪する計画などの将来ミッションによって、こうした課題の解明が進むと期待している。
さらに将来の紫外線望遠鏡は、近傍のスーパージュピターのような巨大な系外惑星でこの輝きを探し、極めて高感度のダークマター検出器として活用できる可能性がある。
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出典:Phys.org / 自動翻訳のため訳文が不正確な場合があります



