異常な星の起源、超新星ではない可能性
銀河系の周囲に浮かぶ星々や矮小銀河から発見された、特異な元素組成を持つ星は、これまで超超新星という通常の超新星の10倍以上のエネルギーを持つ爆発からのみ生まれると考えられてきた。ロンドン大学ユニバーシティカレッジの研究チームは、爆発時に物質が不均等に放出される仕組みを考慮した新しい数学モデルを開発し、通常の超新星でもこうした特異な星の形成を説明できることを示した。これまで超超新星の存在を示唆する「証拠」と見なされてきた現象が、実は説明し直される可能性が出てきたのだ。
超新星が発生するのは、燃料を失った巨大な星が自身の重力に崩壊し、膨大なエネルギーで爆発する時である。この爆発で放出された物質が周辺の星形成領域に飛び散り、新しい星や惑星の形成材料となる。従来の解析では、爆発物質が均等に拡散すると仮定されることが多かったが、実際には異なる仕組みが動いているとこの研究は示唆している。爆発直前の星の内部は玉ねぎのような層状構造で、中心に重い元素が、外側に軽い元素が分布している。爆発の衝撃で、酸素が一方向に優先的に飛び、硫黄が別の方向へ、というように物質が不規則かつ偏った方向に放出される可能性が高い。新しく形成される星は、爆発物質全体の平均的な組成ではなく、その時々に周辺の星形成領域に到達した断片的な物質の寄せ集めから生まれるため、元素比率にばらつきが生じるという考え方だ。
研究チームは、この新しい数学モデルに基づいて4つの星を再調査した。銀河系のハローにある1つの赤色巨星を除く3つの星については、これまで超超新星に由来すると判断されていたが、統計的には通常の超新星から形成された可能性の方が高いことが判明した。もう1つの赤色巨星は特に複雑な状況にある。この星は銀河系の中でも非常に古い時代に形成され、異常な速度で逆方向に銀河を公転しているという特徴がある。従来の仮説では、この星の特異な化学組成は、磁力が強い回転する超巨大星の超超新星からのみ生まれると考えられていた。しかし新しい分析では、この星は別の矮小銀河で形成されたのち、銀河系に引き込まれたという別の可能性が浮上した。矮小銀河では星の形成が非常に遅いため、金属が豊富でない環境でも星が生まれやすいという特性がある。この新しい理解を組み合わせると、この星の組成は中性子星の合体と通常の超新星の双方の痕跡を示しており、新モデルで説明可能だと考えられる。
こうした知見は、銀河系がどのように化学進化を遂げたかを理解するうえで重要な影響を持つ。星の化学組成は、それまでにその領域で起こった爆発的現象の履歴を示す「指紋」となるため、超超新星と通常の超新星の相対的な役割が変わると、銀河全体の化学進化モデルも修正を迫られる。日本の宇宙観測機器メーカーやデータ解析を支える電子部品・データ処理システムの開発企業にとって、こうした天文学的理解の深化は看過できない。次世代の分光観測機器には、より高精度な元素分析能力が求められる可能性がある。また、膨大な天文データから星の詳細な化学組成を抽出・解析するアルゴリズムやセンサー技術の改善も、研究の進展に応じて加速することが想定される。
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