宇宙での複雑な芳香族分子形成の経路が明らかに
宇宙空間で複雑な炭素分子が形成される仕組みを解き明かす新しい化学プロセスが明らかになった。ハワイ大学マノア校化学科の研究チームが発表した研究により、これまで謎とされていた多環芳香族炭化水素(PAH)の急速な生成メカニズムが説明される可能性が出てきた。この発見は、宇宙全域に存在する炭素分子がいかに効率よく成長するのかという、長年解けぬままだった問題に対する答えを与えるものだ。
こうした大型炭素分子は星の残骸から星間ガスの雲まで、宇宙全域に存在することは既に知られていた。しかし科学者たちは長年、観測される豊富な量がどのようにして形成されるのか、その過程を説明できずにいた。特に、宇宙探査機が竜宮などの炭素質隕石から採取したサンプルと、望遠鏡による観測データが示す分子の存在量の間に矛盾があった。既存の理論では、炭素原子が一つずつ結合して大型分子に成長する過程では、実際に見られるほどの速度で分子形成が進まないという根本的な問題があったのである。つまり、自然界で観測される複雑分子の豊富さを説明するための理論的な根拠が不足していたわけだ。
今回の発見では、化学反応の新たなメカニズムが提示された。従来のモデルでは、炭素原子が順序立てて一つずつ付加されることで分子が成長すると考えられていた。しかし研究チームの実験は、複数の化学結合が一度のステップで同時に形成されるプロセスが存在することを示した。この新しい反応経路により、複雑な分子構造がこれまでの予測より大幅に高速に成長することが実証されたのだ。研究では、星の周辺部など宇宙の極めて高温な環境を実験室で再現し、その条件下で実際に大型のPAHが生成されることが確認された。このプロセスは複数国の研究機関との共同研究で検証されており、台湾の研究者とフランスのシンクロトロン施設SOLEILも参加している。これまで予測されていたものの説明が困難だった大型分子が、新しい化学経路で初めて理論通りに生成されたということになる。
この発見は宇宙における炭素進化の理解を大きく前進させる可能性を持つ。複雑な炭素分子は星、惑星、太陽系を形成する化学過程で重要な役割を果たしていると考えられている。つまり、銀河系全体の化学的な進化と物質循環を理解するうえで、こうした分子形成のメカニズム解明は基本的な知識となるのだ。宇宙がいかにして現在の姿に至ったのか、その歴史を紐解く手掛かりが一つ得られたということである。
日本の製造業、特に宇宙関連分野に携わる部品やセンサー、分析装置の製造企業にとって、こうした基礎科学の進展は直接的な需要を生み出さない場合もある。しかし、宇宙環境のシミュレーション装置や、隕石・宇宙サンプルの分析に用いる高精度測定器、あるいは宇宙探査で使用される材料開発など、周辺領域での技術ニーズは増す可能性がある。基礎科学の謎が次々と解明されていく過程で、それを支える測定技術や環境制御技術の役割はいっそう大きくなっていくと考えられる。
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出典:Phys.org / 自動翻訳のため訳文が不正確な場合があります