英国、衛星防衛の新たな宇宙軍部隊を発足
イギリスが軍事宇宙部隊「No III Space Effects Squadron」を新設し、敵対国による衛星への攻撃を排除・低減・阻止する専門部隊として機能させる。これは、宇宙空間が戦場化する中で、各国が衛星防護に本格的に乗り出す流れの一環である。
イギリスは2023年に衛星脅威の「監視・警告」を担う部隊を2個編成していたが、今回の新部隊は一歩進んで、電子戦を含む先進技術によって敵対勢力の宇宙活動に対抗する能力を持つ。防衛省の表現を借りれば、敵の宇宙活動に対して「作用する」(act against)ための専門組織であり、単なる監視・警告では対応しきれない段階に入ったことを示している。発表の背景には、ロシアがイギリスの軍事衛星への定期的なジャミング工作を試みているという現実がある。イギリスが現在運用している6個の軍事衛星には対ジャミング技術が装備されているが、脅威が高度化する中で、これだけでは十分でないと判断されたものと考えられる。また、米国が先ごろ公式に軌道上への兵器配備を認めたことが直接の契機となり、中国がこれを「戦場化」への懸念として警告し、ロシアも宇宙の「兵器フリー化」を求めるなど、宇宙での軍事化競争が急速に加速している。
宇宙産業にとって、この発展が示唆することは大きい。衛星の通信機能や監視・早期警戒能力は国防上の極めて重要な資産であり、その保護・強化に向けた投資は今後さらに増すと考えられる。電子戦技術の発展とそれへの対抗手段の必要性は、衛星搭載機器や電子戦システム、対ジャミング技術といった防御的な宇宙システムへの需要を拡大させるだろう。これまで軍事衛星の開発は限定的な企業に集中していたが、防衛能力強化の緊急性が高まる中で、サプライチェーン全体に対する要求が高まる可能性がある。同時に、衛星を攻撃から守るための技術開発競争は、宇宙システム全体の高度化を促し、関連産業に構造的な変化をもたらすと考えられる。
日本の部品・装置・素材メーカーにとって、この流れは無視できない展開である。衛星システムの強靭化や多様化に向けて、高周波デバイス、電子戦対応部品、耐放射線部品など、防衛関連の宇宙技術に対する需要が増える見通しがある。既に衛星関連産業に関わる企業は、この変化を市場機会と捉えて、自社の製品・技術がどう貢献しうるかを検討する段階にある。防衛・宇宙産業向けの要求仕様は民生向けとは異なることが多く、サプライチェーン全体の対応能力が問われることになるだろう。
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