宇宙船の耐熱シールド、超高温下での動作を実況観察
再突入時に宇宙船の熱シールドがどのように劣化するかを、リアルタイムで微視的なレベルまで観察できる手法が確立された。米国のローレンスバークレー国立研究所の高度光源施設(ALS)を中核に、大学とNASAが協力して実現したこの技術は、将来の宇宙探査ミッションの熱シールド設計を根本的に改善する可能性を持つ。
宇宙船が地球大気圏に再突入する際、熱シールドは3,000度を超える極高温にさらされる。シールド材は「アブレーション」と呼ばれるプロセス、つまり外層を意図的に劣化・消失させることで熱を吸収し、内部を保護する。しかし工学者にとって長年の課題は、この劣化過程をミクロスケールで観察することが困難だったことだ。設計者は加熱実験の前後に試料を調べることでしか情報を得られず、これに基づいて計算モデルを構築してきた。実時間での内部変化の観察は、これまで技術的に実現不可能だったのである。
新しい環境制御装置では、X線マイクロコンピュータトモグラフィーを用いながら温度・気圧・ガス組成を独立して制御して再突入環境を再現できる。研究チームは2種類の市販アブレータ材料SLA-220とSLA-561Vを900度まで加熱し、複数の時点で3次元画像を取得した。ただし実験上の課題として、広い領域を急速にスキャンすると解像度が低下し、微細構造を高解像度で捉えると時間がかかる問題があった。研究者は生成的対抗ネットワーク(GAN)を基とするAI技術でこれを解決した。低解像度で連続的に広域スキャンしながら、高輝度光源を活用し、加熱前後の高解像度スナップショットも撮影。AIがこれらの高品質画像で学習し、全ての連続画像を高解像度に変換することで、加熱中の構造変化の完全な記録を得られたのだ。
AI処理の結果、二つの材料の劣化メカニズムが大きく異なることが明らかになった。SLA-561Vはワイン栓にも使われるコルクを含んでおり、加熱で分解して散在した空隙が残る。SLA-220は有機充填剤を含まず、シリコーン系マトリックスが加熱時に相互接続したチャネルネットワークを形成する。再突入条件下で熱とガスが材料を移動する際、独立した空隙は相互接続したチャネルと異なる挙動を示し、各材料の熱シールド性能に影響をもたらすと考えられる。
この観察技術はNASAのほぼすべての主要アブレータ熱シールド材に適用されており、アルテミスや火星着陸といったミッションに関わる材料の理解に役立てられている。日本の部品・材料メーカーがNASAに熱シールド関連素材やコンポーネントを供給する際、こうした検証手法の進化を理解することは重要である。今後、材料設計や品質管理の基準がより厳密化していく可能性がある。国際競争力を保つには、先端的な評価技術の動向を把握し、設計・プロセス開発に反映させることが不可欠となる。
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出典:Phys.org / 自動翻訳のため訳文が不正確な場合があります