「早急かつ強力に整備すべき国家インフラ」「勝ち筋をしっかりと見定める」第124回宇宙政策委員会で語られた古川内閣府特命担当大臣の言葉
イメージ 日本政府が宇宙を「次世代インフラ」から「早急かつ強力に整備すべき国家インフラ」へと位置付けを一段階引き上げた。2027年度の宇宙関係予算は1兆791億円の概算要求が示され、シーリング枠を設けない「強く豊かな日本」投資枠で、必要な予算をシーリング制約なく要求する仕組みが初めて導入される。
9月28日に開催された第124回宇宙政策委員会は、古川俊治・宇宙政策担当大臣の新体制での初会合となった。議論の柱は、2027年度予算の各省庁概算要求、宇宙戦略基金の進捗、そして宇宙基本計画改定の論点整理の三点である。古川大臣は、宇宙を従来の「次世代の国家インフラ」という位置付けから、「実態としては今や国民生活、産業、安全保障に欠くことのできないもの」として、早急に整備すべき基盤施設と再定義した。この変更は、わずか一年前に当時の担当大臣が宇宙を「自動車産業に次ぎうる基幹産業」と述べた時点からの大きな転換である。スマートフォンの位置情報、天気予報、金融取引の時刻同期、災害被害把握など、既に衛星システムは日常生活に欠かせないインフラとなっているという認識が背景にあると考えられる。
宇宙戦略基金の運営方針も大きく変わる。同基金は2023年度・2024年度・2025年度の補正予算で累計8,000億円が措置され、民間企業や大学による宇宙技術開発を複数年度支援してきた。古川大臣は今後、ステージゲート審査(技術開発の段階的評価)を本格化させ、「我が国としての勝ち筋をしっかりと見定め」たうえで、社会実装と事業化を見据えた集中支援を行う方針を示した。つまり、研究開発段階から実用化・事業化へのシフト、そして官民の需要確保という「出口戦略」の強化が求められるようになる。
この政策転換は、日本の製造業や部品・素材サプライヤーにとって無視できない変化である。宇宙戦略基金はこれまで、キオクシア、ダイキン工業、日本郵船、大熊ダイヤモンドデバイスなど、異業界の大手企業からスタートアップまで幅広く採択してきた。政府が「勝ち筋」を見定めて支援を集中させる方針を打ち出した現在、単なる技術開発支援ではなく、最終的に衛星システムやサービスとして市場化・納入できるかどうかが評価の大きな要素になると見られる。裏を返せば、宇宙関連部品や素材・装置の供給網を整備し、実際の調達に応じられる体制を整えた企業は、今後の事業展開において有利な地位を占める可能性がある。
宇宙基本計画の改定は今年末の論点整理を皮切りに、2027年5月頃の最終決定を目指して進められる。世界各国の競争や宇宙ビジネスの急速な拡大という現実のなか、日本が自立した宇宙インフラをどこまで保有・運用するかが大きな論点となるという。新しい基本計画では「社会実装」がキーワードとして組み込まれ、外需・民需の獲得につなげることの重要性も強調されている。日本の宇宙産業全体が投資拡大から成果創出・事業化へとシフトする転機を迎えている。
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出典:宙畑
