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超大質量ブラックホール「いて座A*」周辺で新たな星を発見 ブラックホールの自転測定に期待

天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホール「いて座A*」の周辺で、新たな星が発見された。この星がブラックホール本体の自転を初めて直接測定するための手がかりになると期待されている。

これまでいて座A*に関する観測は、その質量や周辺の重力場を調べることが中心だった。いて座A*の質量は約太陽の430万倍と精密に測定されており、S2という星の近点移動を通じてアインシュタインの一般相対性理論が極限環境でも成り立つことが確認されている。一方、ブラックホール本体の自転については、これまで直接測定する手段がなかった。自転する天体は周囲の時空そのものを引きずる「レンス・ティリング効果」と呼ばれる現象を生じるが、この効果は距離の3乗に反比例して急速に弱まるため、その影響を捉えるにはブラックホールに極めて接近する星の観測が不可欠だったのだ。

今回発見されたS301は、パリ天文台の研究チームによってヨーロッパ南天天文台のVLTI(超大型望遠鏡干渉計)で観測された。約8.7年周期でいて座A*を公転し、従来知られていた最短周期のS55(約12年周期)の記録を更新する。近点ではいて座A*から約12天文単位(太陽から地球までの距離の約12倍)まで接近し、その速度は光速の8%以上に達する毎秒約2万5000km。これは天の川銀河で最も速く動く既知の星となった。研究チームはS301がもともと連星を成していながら、ブラックホールの潮汐力によって片方が弾き飛ばされた可能性があると考えている。

研究チームは今後10年ほどかけてS301の軌道を継続観測し、いて座A*の自転を初めて直接測定することを目指している。2020年ノーベル物理学賞を受賞したマックス・プランク地球外物理学研究所のReinhard Genzel氏も、S301の発見により天の川銀河中心の極限環境における時空の性質を探る新たな観測窓が開かれたとコメントしており、この観測プロジェクトが基礎科学に対して大きな意義を持つと考えられる。

こうした高精度な観測技術の進展は、宇宙開発全体に影響をもたらす可能性がある。複数の大型望遠鏡を統合するVLTIのような計測システムの発展が示すように、極限環境での測定需要が高まることで、衛星部品や光学素子、精密機械などの宇宙機器関連メーカーにとって新たなスペック要求が生じる可能性も考えられる。基礎研究の成果が応用技術へと波及する過程を通じ、日本の部品・素材メーカーにおいても将来の技術課題をいち早く認識しておく価値があると言えるだろう。

※ 内容の紹介はここまでです。続きは元記事をご覧ください。

出典:sorae

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