NASA施設で実施されたスーパーヘビーの風洞試験 改良版機体の空力データを取得
イメージ スペースXが開発中のスターシップ用ブースター「スーパーヘビー」の改良版について、NASAのエイムズ研究センターで風洞試験が実施された。この試験では、エンジンカバーを一体型ヒートシールドに置き換えるなど、再使用性を高めるために設計された新型ブースターが、大気圏再突入時にどのような空力を受けるかが測定された。
スーパーヘビーはスターシップ打ち上げシステムの1段目に相当する大型ロケットである。最新型のバージョン3では、33基のエンジン基部を覆うカバーが一体型のヒートシールドに変更され、大気圏内での姿勢制御に用いるグリッドフィンも4枚から3枚に削減された。一方、残されたフィンのサイズは1.5倍に拡大され、またスターシップ宇宙船との接続部は使い捨て型から再使用可能な一体型へと変更される。これらの改良は、NASA主導の有人月探査計画「アルテミス」における月着陸船として同機を使用する際に必要とされた仕様変更である。
風洞試験で用いられたのは、実物の1.2%スケールで製作された模型である。2025年の後半にエイムズ研究センターの遷音速風洞(マッハ0.2~1.4)と超音速風洞(マッハ1.55~2.5)を使用して測定が行われた。測定対象は、定常空力(機体表面を空気が滑らかに流れる際に作用する力)と非定常空力(予測しづらいタイミングで空気が叩きつけられるような力)の両方である。前者は飛行ソフトウェアの誘導精度向上に、後者は機体荷重の解析に用いられる。
風洞試験による改良の実績は、すでにNASAの大型ロケット「スペース・ローンチ・システム」(SLS)に見られる。2026年4月のアルテミスIIミッションで使用されたSLSには、気流を安定させるためのストレーキが追加されており、これは風洞試験に基づいた改良だと考えられる。スーパーヘビーは2027年のアルテミスIII実証ミッション、2028年のアルテミスIV有人月面着陸ミッションなど、複数の重要なアルテミス計画に用いられる予定であり、今回の試験データはこれらのミッション成功を支える基盤となる。
設計変更に伴う空力特性の詳細な把握は、ロケットの安定性と信頼性に直結する課題である。日本の製造業にとっても、宇宙システムの再使用化が進む中で、部品や素材の耐熱性、繰り返し使用条件での信頼性、軽量化の要求が一層高まることが予想される。今後の宇宙産業サプライチェーンにおいて、設計段階での詳細な検証に対応することが重要な課題となるだろう。
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出典:sorae





