【KSVセミナーレポート】高度100kmを目指すハイブリッドロケット 神奈川大学・みなとロケットの挑戦
イメージ 神奈川大学とそのベンチャー企業みなとロケットが、ハイブリッドロケット技術を地域のものづくり企業に開放し、宇宙産業への参入機会を提示するセミナーを開催した。2014年から続く大学の開発実績が、商用化へと動き始めた局面である。
神奈川大学は2014年から小型ロケット開発に着手し、固体燃料と液体・気体酸化剤を組み合わせるハイブリッド方式を採用してきた。同大学が注目したのは、この推進方式が安全性と低コストを両立し、環境負荷も小さいという特性だ。2021年9月の秋田での飛翔実験で高度約10.1km、その後も福島での実験でマッハ1.5の最高速度を記録するなど、段階的に性能を積み上げている。特に2024年の実験では、太平洋上での軟着水後に機体の大部分を回収し、GPS発信機や分離機構といった新型部品の実証も並行している。これは単なる研究段階から「再利用可能な飛行体の開発」へと軸足が移ったことを示している。
大学の技術を事業化するみなとロケットが語るのは、小型衛星の打ち上げ需要を見据えた商用展開だ。この動きは、政府が掲げる「2030年代前半までに年間30件程度の国内打上げ能力確保」というKPIと歩調を合わせている。官民一体で国内宇宙輸送の基盤を築こうとする中で、地域に根ざした企業がサプライチェーンに組み込まれる可能性が生まれたわけだ。会場に集まった地域のものづくり企業にとって、これは単なる情報提供ではなく、実際の案件受注へつながる最初の入口となり得る。
部品・装置・素材メーカーの立場からすれば、ハイブリッドロケットは新たな市場を意味する。燃焼室や分離機構、回収用パラシュート、軽量素材など、既存の航空機・自動車産業で培った技術を応用できる領域は多い。公表データによって設計仕様が見える化され、単発の実験受注から継続的な製造へつながる可能性も想定できる。ロケットの高度記録はまだ10km台だが、100km到達という明確な目標が存在し、それに伴う部品仕様の段階的な高度化が予見可能だという点が重要だ。
国内ロケット産業の競争激化を背景に、大学と地域産業が結びつくエコシステムが急速に形成されつつある。このセミナーはその象徴的な一歩であり、参加企業にとっては技術的親和性を確認する機会となった。今後、個別の部品開発案件がどの程度具体化するかが、地域サプライチェーンの実装化を測る鍵となると考えられる。
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出典:sorae





