衛星画像で街路樹の変化を把握 パスコと目黒区、区民の写真も活用する管理手法を検証
イメージ パスコと東京都目黒区が衛星画像と区民から寄せられた写真を組み合わせ、街路樹の管理を効率化するプロジェクトを開始する。衛星で捉えた植生の変化と地上の情報を組み合わせることで、点検が必要な場所を優先的に絞り込む手法を検証するもので、2027年3月まで実施される。
街路樹の管理は自治体の重要な課題である。樹木は日陰や景観の価値を提供する一方で、老朽化や病害虫による倒木や落枝といった安全上のリスクを抱えている。目黒区は2026年5月から管理樹木の緊急点検を進めているが、対象となる樹木数が多く、限られた職員数と予算の中で、どの場所から確認すべきかを効率よく判断できる仕組みが課題となっていた。今回のプロジェクトは、こうした管理負荷を軽減するための実証である。
プロジェクトの仕組みは段階的に進む。まず衛星画像を複数の時期で撮影し、画像解析により樹木の生育状態を示す「植生活性度」の変化を追跡する。植生活性度が低下傾向を示すエリアを自動的に抽出し、区が保有する樹木情報や過去の点検記録と照合して、現地確認の優先度が高いエリアを絞り込む。さらに、2026年10月ごろに実施予定の区民参加型調査では、アプリを通じて提供される区民の写真も加えることで、衛星画像だけでは把握できない詳細な現況をデータに組み込む。その後、区職員が現地を巡回して実際の樹木の状態を確認する。重要な点は、衛星画像の解析結果があくまで点検対象の「候補抽出」であり、最終的には人間が現地で判定することである。衛星データと地上データを組み合わせることで、点検業務の効率化と精度向上の両立を目指している。
パスコが衛星画像の解析と照合を、ジオテクノロジーズが区民参加型調査とアプリの試用を担当し、目黒区が検証フィールドと実施データを提供する、という役割分担がされている。2026年度は対象エリアと樹種を限定して手法の有効性と費用対効果を検証し、2027年度以降は他地域や異なる樹種への適用可能性を調べた上で、他の自治体への展開も検討する方針である。このプロジェクトは東京都の「令和8年度東京データプラットフォームデータ駆動型サービス創出事業」に採択され、目黒区の費用負担がないことも、スケーラビリティを見据えた設計になっていることを示唆している。
日本の製造業にとって、このプロジェクトが示唆する点は何か。一つは、衛星画像解析や機械学習といった宇宙技術・デジタル技術が、自治体のような従来のIT活用が進みにくい領域に広がりつつあることである。もう一つは、専門的な解析プラットフォームと地上の現場データ、さらに市民参加という多層的な情報源の統合が、実運用で求められ始めていることである。衛星データの取得から解析、運用まで、一貫した体制づくりにおいて、センサー・解析アルゴリズム・ハードウェア・通信などの部品・装置・素材を供給する各企業には、衛星データ産業のこうした実適用ニーズに応え続ける機会がある。
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出典:sorae




