中国が「快舟11号」を打ち上げ 商用InSAR衛星「天儀51・52星」を軌道投入
イメージ 中国のInSAR衛星が実用化段階へと進もうとしている。9月17日、中国の宇宙企業スペーステック(天儀空間)が商用InSAR衛星2機を軌道上に投入した。この打ち上げは単なる一つのミッションではなく、合成開口レーダー技術の商用利用がいよいよ現実化したことを示す重要な節目である。
打ち上げを担当したのは中国企業ExPace(快舟航天空間科技)の固体燃料ロケット「快舟11号」である。酒泉衛星発射センターから打ち上げられた衛星「天儀51星」と「天儀52星」は、軌道傾斜角55度の中傾斜軌道に配置された。InSAR技術とは、異なる時期に取得したレーダー画像を比較することで、地表のわずかな変化を精密に測定する手法だ。この2機の衛星が世界初と位置付けられた理由は、商用運用目的での中傾斜軌道InSAR衛星の配置がこれまで実現していなかったからである。地球観測衛星として求められる実用性と商用性能を両立させる構成は、市場の成熟度を示す指標ともいえる。
この衛星群の用途は、インフラ監視という実務的な領域に集中している。山間部の地質災害、都市部の危険建築物、水力発電施設、幹線交通網といった、各国で「見守る必要がある」対象が監視される予定だ。これらは従来、人員派遣や定期的な測量で対応されてきた領域である。衛星ベースのInSAR観測がこれらの用途で実用的になれば、継続的で広域的な監視が低コストで可能になる。また、天儀52星には炎和科技が開発したペロブスカイト太陽電池モジュールが搭載されており、新素材の宇宙環境での長期性能試験もあわせて実施される。このように、新しい衛星機能と新素材の実証が同時に進むことで、商用衛星事業における技術革新の速度が加速すると考えられる。
中国がこうした衛星打ち上げを重ねる背景には、商用リモートセンシング市場への注力と、頻繁な打ち上げをこなすロケット体制の構築がある。快舟シリーズは今回のミッションで40回目の飛行を迎えており、月単位での打ち上げペースが日常化しつつある。こうした展開は、日本の衛星部品メーカーやセンサー企業にとって、新たなサプライチェーン構築の機会をもたらす一方で、市場競争の激化をも意味している。InSAR衛星の構成要素である高精度レーダーセンサー、アンテナ、電力制御システムといった部品の国産化ニーズも高まるだろう。日本の製造業が国際競争力を維持するには、こうした新興市場での部品供給立場の確立が不可欠になっていく。商用衛星が成熟市場へと移行する今、部品の品質安定性と供給体制の確実さが、受注獲得の鍵となる時代が来ようとしている。
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出典:sorae




