スペースX、ライドシェアミッション「Transporter-18」の打ち上げを実施 130のペイロードを軌道投入
イメージ スペースXが10月2日にファルコン9によるライドシェアミッション「トランスポーター18」を実行し、130個のペイロードを一度に軌道に投入した。このミッションは、商業衛星を効率よく打ち上げるスペースXの「SmallSat Rideshare Program」の18回目にあたり、単なる数の多さだけでなく、宇宙産業が新たな段階へ入りつつあることを示しており、サプライチェーン全体に変化をもたらそうとしている。
今回搭乗したペイロードの内訳は極めて多様である。キューブサットやマイクロサットといった従来の小型衛星に加え、宇宙機2機と軌道間輸送機(OTV)4機が含まれていた。搭乗した130のペイロードのうち41は軌道間輸送機に搭載されており、後日分離される予定だという。特に注目されるのはGoogleのプロジェクト・サンキャッチャーM1試作衛星で、機械学習向け半導体TPU(Tensor Processing Unit)を搭載している。この衛星は宇宙環境でTPUがどの程度まで正常に動作するか、すなわち打ち上げ時の振動や加速度、軌道上の放射線や温度変動にどの程度耐えられるかを試験するためのものだ。Googleは2027年に2機追加打ち上げてレーザー通信実験を行う計画を持っており、将来的に宇宙でAI処理を集約させるデータセンター構想の実証段階に入ろうとしている。
この動きは宇宙産業に新しい用途領域をもたらしている。Starfish Spaceのサービス衛星「Otter」も初号機を打ち上げており、これは運用中の衛星の寿命延長や廃棄を行う宇宙機であり、衛星の運用サポート市場が形成されようとしていることを示唆している。また、Varda Space Industriesの再突入カプセル「W-8」「W-9」は宇宙での医薬品製造という新分野を象徴している。さらに今回のミッションには、Planetのハイパースペクトル衛星「Tanager-2」、フィンランドのICEYEのSAR衛星、イタリアの地球観測プログラム「IRIDE」の衛星など、各国の多様なスタートアップや政府機関の衛星が相乗りしている。このように130個という大量のペイロードが一度に打ち上げられることは、宇宙市場が段階的に成熟化していることを示す指標と言える。
この趨勢は、宇宙産業のサプライチェーンに対して重要な含意を持つ。単一ペイロード打ち上げから複数衛星の効率的な同時投入へシフトすることで、各企業の参入障壁が低下し、新規プレイヤーが増加している。同時に、宇宙環境での長時間運用、放射線耐性、温度・振動耐久性が求められるミッションが増えており、これらは部品・素材・装置メーカーにとって新たな検証要求と市場機会をもたらす。特にTPUのような高性能チップが宇宙で動作する必要が生じれば、その周辺機器や放熱部品、耐放射線設計への需要が増加する可能性がある。日本の精密加工メーカーや電子部品メーカーは、こうした新しい宇宙応用に対応するための信頼性試験体制と供給能力の構築を迫られることになるだろう。
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出典:sorae




