欧中の科学衛星「Smile」が科学観測開始へ 紫外線で捉えたオーロラの映像をESAが公開
イメージ ヨーロッパと中国が共同開発した地球磁気圏観測衛星「Smile」が科学観測の本格開始に向けた準備を完了し、紫外線で捉えたオーロラの映像が公開された。このミッションは、太陽風と地球磁気圏の相互作用を初めて同時に観測できる能力を持つもので、宇宙天気の予測精度向上につながる可能性がある。
Smileは2026年5月に打ち上げられ、6月に地球を囲む細長い楕円軌道への投入に成功していた。搭載する紫外オーロラ撮像装置(UVI)で7月24日に撮影されたオーロラの映像では、北極上空で渦巻くリング状に光るオーロラが捉えられており、このリング全体が紫外線で観測されたのは2008年以来となる。従来は約15時間程度が観測の限界だったのに対し、今回は45時間の連続観測により取得されたもので、観測能力が飛躍的に向上している。ESAの発表によれば、このオーロラのリングが波打つ様子は、磁気圏でサブストーム(オーロラ嵐)と呼ばれる現象が発生したことを示しているという。サブストームは太陽風に押しつぶされた地球の磁力線が互いに近づき、高エネルギーの粒子が北極や南極へ一気に送り込まれるという、磁気圏の短時間の乱れである。
もう一つの搭載装置である軟X線撮像装置(SXI)はまだ調整中だが、太陽風の粒子が地球の上層大気と衝突した際に放たれるX線を観測し、磁気圏の境界領域の形状と動きを詳細に記録する役割を担う。現在、地球に向けた観測時に不要な光を拾い過ぎているため、迷光が最も弱まる10月中旬には磁気圏界面やカスプと呼ばれる領域の明確なデータが初めて取得される見込みである。Smileは、このX線と紫外線の両方を同時に観測することで、太陽風と磁気圏の相互作用によってオーロラが生じる過程を初めて観測することができるとされており、オーロラのメカニズム解明が期待されている。
このミッションの最大の意義は、太陽活動と地球環境・人工衛星への影響を理解する新たな手がかりを与える点にある。太陽風のエネルギー変化は人工衛星の運用や送電網に影響をもたらす可能性があるため、Smileから得られるデータは宇宙天気予測の精度向上に貢献すると考えられる。日本国内の衛星メーカーや通信機器メーカーにとっても、このミッションによって明らかになる太陽活動と磁気圏の相互作用パターンは、次世代衛星の設計耐性やシステム安全性の向上に活用できる知見となる可能性がある。また、欧中の共同ミッションの成功は国際協力による宇宙科学の進展を示すものであり、日本を含む各国の関連産業にとって、今後のプロジェクトの参画機会拡大につながるモデルとなり得る。
※ 内容の紹介はここまでです。続きは元記事をご覧ください。
出典:sorae
