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建設工事が始まったばかりの “ミニカミオカンデ” 「中間水チェレンコフ検出器」とはなにか?

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茨城県東海村にて、ハイパーカミオカンデ計画の一環として「IWCD(中間水チェレンコフ検出器)」の建設が始まった。直径約9メートル、高さ約12メートルの大型水槽にて、約600トンの純水を用いてニュートリノを検出する装置である。このIWCDは、巨大なハイパーカミオカンデ検出器(直径・高さ約70メートル)と比べれば縮小版だが、ニュートリノ検出の仕組みは同じであることから「ミニカミオカンデ」と呼ぶべき存在である。

最も特筆すべき点は、この水槽が世界初の可動式ニュートリノ検出装置であり、水を含めて約800トンの装置がエレベーターのように上下に移動できるという点である。 IWCDの建設に用いられる「圧入式オープンケーソン工法」は、深さ50メートルに達する縦穴を掘進するための手法である。高さ4.5メートル、外径13.6メートル、厚さ1.6メートル、重さ500トンの鉄筋コンクリートリングを複数段積み重ね、リングの内側を掘り進めながら自重と油圧によって地中に沈めていく方法である。

最大3600トンの油圧で精密に制御し、中心部のズレを30センチメートル以内に収めることを目標としている。この工法は周辺の農地の地下水低下を防ぐため、縦穴内に水を溜めながら施工する環境配慮型の手法でもある。ハイパーカミオカンデ計画の最終目標は、ニュートリノの「CP対称性の破れ」を発見することである。

宇宙誕生直後に物質と反物質がペアで生成されたはずだが、現在の宇宙は物質で満たされ反物質がほぼ存在しないという矛盾を解明するため、ニュートリノの種類が変化する「ニュートリノ振動」において、ニュートリノと反ニュートリノの変化確率に差があるかを調べるのである。 IWCDがハイパーカミオカンデ計画に不可欠である理由は、その検出方式にある。IWCDはハイパーカミオカンデと同じ純水槽方式を採用しているため、ニュートリノ振動の前後での検出結果を同一の条件下で比較できる。

前身であるスーパーカミオカンデによる「T2K実験」では異なる検出方式を用いていたため、検出効率の未知の要素が結果に影響する可能性が残っていた。また、IWCDの可動式という特性は、J-PARC加速器から放出されるニュートリノビームがエネルギーに応じて異なる角度で進む性質を利用できる。ハイパーカミオカンデはビームの中心から2.5度ずれた位置に最適化されているが、IWCDが上下移動することで他のエネルギーを持つニュートリノの性質も調べられるのである。

ニュートリノのCP対称性の破れが発見されれば、それはノーベル賞に匹敵する大発見となる。中国の江門地下ニュートリノ観測所(JUNO)など国際的なライバルが存在するなか、ハイパーカミオカンデ計画は最初の発見者となる可能性を秘めている。現在の実験計画では、2028年度の運用開始から3年程度でニュートリノのCP対称性の破れを発見し、稼働から5年程度で公表できる見通しがある。

その後も実験は続行され、少なくとも10年間の実験期間でCP対称性の破れに関連する物理量の精密測定を目指している。

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出典:sorae

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