【宇宙の温度を比べてみれば】太陽の温度はどのくらいか?
イメージ 太陽の実像が、人類史上最速の探査機によって明らかになりつつある。アメリカのパーカー・ソーラー・プローブが2024年に太陽コロナを通過したとき、時速約69万キロメートルという人類最高速度を記録した。その目的は、地表から約610万キロメートルの距離に到達し、太陽の大気であるコロナを直接観測することだ。太陽表面の温度が約5500℃であるのに対し、その外側にあるコロナの温度は数十万℃から数百万℃に達するという異常な温度構造が、科学者たちの関心を集めている。
太陽表面の約5500℃という温度は、タングステンなど融点が最も高い金属ですら融解するほどの高温だ。タングステンの融点は約3400℃であり、現在知られている最高融点の物質でも約3990℃で融ける。探査機がこのような環境を高速で通過する必要があるのは、太陽の熱にさらされる時間を最小限に抑えるためである。さらに厄介なのは、太陽表面よりも外側のコロナの方がはるかに高温だということだ。この逆転現象はいまのところ十分には理解されていないが、太陽の磁場と関連があると見られており、パーカー・プローブの観測がその謎解きの糸口となる可能性がある。科学者たちがこれほどの困難を乗り越えてまで太陽観測を続けるのは、太陽の活動が地球環境や人間活動に及ぼす影響の大きさを認識しているからだ。
太陽の内部に目を向けると、温度はさらに劇的に上昇する。太陽中心部は1500万℃に達し、表面の約3000倍という圧倒的な高温環境だ。この中心部は太陽系唯一の天然核融合炉として機能し、水素をヘリウムに変え続けることで、地球を照らす光と熱を生み出している。興味深いことに、この中心部で生じたエネルギーが太陽表面に到達するまでに数十万年かかるとされている。つまり、われわれが現在受けている太陽光は、ホモ・サピエンスが地球に誕生するより前の時代に太陽中心で生まれたエネルギーなのだ。地上での核融合実現には1億℃という、太陽中心よりもさらに高い温度が必要とされるのは、地上の炉ではガス密度が太陽に比べて極めて低いためである。
太陽が放出する最大級のエネルギー現象が太陽フレアだ。太陽表面の爆発現象であるフレアの温度は1000万℃から4000万℃に達し、最大級の爆発では1億℃に及ぶ可能性も指摘されている。その放出エネルギーは1メガトン級の水爆の10億倍に相当するという途方もない規模だ。地球上では、この太陽フレアに伴って放出される荷電粒子がコロナ質量放出現象として地球の磁場を乱し、通信障害や大規模停電を引き起こすことが知られている。初期の地球では、こうした太陽フレアの激しい活動が生命の材料を生み出す際に重要な役割を果たしたと見る研究者も多い。
日本を含む産業先進国では、人工衛星や通信ネットワーク、電力インフラが社会・経済を支える重要な要素となっている。太陽フレアがこうしたシステムに与える影響の大きさは、今後さらに増すと考えられる。部品・装置・素材を扱う製造業にとって、宇宙天気への対応は他人事ではない。パーカー・プローブのような極限環境で動作する探査機の部品開発、太陽フレアによる電磁パルスに耐える電子機器の設計・製造、衛星やその搭載機器に用いられる材料の研究開発など、太陽の真の姿を理解することは、宇宙ビジネスおよび地上インフラの強靭化に直結する課題なのである。
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出典:sorae

