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【KSVセミナーレポート】山形大学「ベニバナ・サット」プロジェクト 地域企業と挑む超小型衛星開発

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山形大学が県内企業と連携し、1Uサイズの超小型人工衛星「ベニバナ・サット」の開発に取り組んでいる。2028年度までの打ち上げを目指すとともに、2035年までに山形に宇宙産業のエコシステムを構築することを目標とした10年単位のプロジェクトである。大学と地域企業が設計から製造、試験、打ち上げ後の運用までを一貫して手がけることで、山形に宇宙機器開発のノウハウを蓄積していく計画だ。この取り組みは一般財団法人森の学校の寄附による山形大学の寄附講座の中で進められており、「山形の産業へ」「山形に人材を」「山形を元気に」という3つの基本理念に支えられている。衛星の1号機では、技術試験・検証のほか、「宇宙から山形を見る」「山形から宇宙・衛星を見る」というミッションが検討されているという。単一の大学プロジェクトではなく、地方の産業振興をも見据えた広がりのある構想なのだ。

このプロジェクトが注目される理由は、単に衛星1機を打ち上げることが目的ではなく、地域の産業基盤そのものを宇宙領域に拡張しようとしている点にある。開発体制も特徴的だ。音響・振動解析を手がけるアルセンスの滝口氏がCTOとして開発を牽引する一方で、Space BDが技術伴走や人材育成プログラムを提供し、外部の専門知識と地域企業の既存技術が融合される体制が整えられている。既に株式会社ソアーのような地域企業は、有機ELデバイスの開発や受託製造で培った構造設計や真空・振動試験の解析・評価技術を衛星開発に生かしており、地域企業が宇宙機器開発のサプライチェーンに実際に加わりはじめている。山形の企業が持つ金属加工、電子部品、電池関連の技術が、衛星開発という新しい領域でどのように活かされるかが、今後の鍵となる。

プロジェクトはさらに、衛星を製造するだけでなく、そのデータをどう活用するかという視点も重視している。農業、林業、防災、インフラ監視といった地域の課題解決に衛星データを活かす「デマンド創出」が柱の一つとなっているのだ。衛星を使ってどのような価値を生み出すかを考えることが、産業として持続するための必須条件だと位置づけられている。また中高生向けのミッションアイデアコンペや探究学習支援を通じて、将来の地域産業を担う人材育成も同時に進められる。これらの取り組みを通じて、山形大学は人材や技術のハブを大学内に形成し、持続的な人材育成や小型衛星関連産業の展開につなげていこうとしている。宇宙産業の裾野を広げる試みと言える。

宇宙産業への参入には、専門知識や開発プロセス、試験、打ち上げ手続きなど多くのハードルがある。しかし超小型衛星の普及によって、大学や地域企業が宇宙開発に参加する機会は広がりつつある。ベニバナ・サットプロジェクトは、こうした機会を地域産業の発展に結びつけようとする試みであり、その成否は日本全体の製造業にとって重要な事例となる可能性がある。部品・装置・素材メーカーにとって、金属加工から電子部品、電池技術まで、従来培ってきた技術の延長線上に宇宙領域が広がっていることが示唆されている。山形大学の取り組みが実現すれば、他の地域でも同様のモデルが広がる道筋が示されることになり、全国の中小製造業にとって宇宙産業への参入機会はより具体化していくと考えられる。地方から始まる産業構造の転換が、今まさに動き始めようとしているのだ。

※ 内容の紹介はここまでです。続きは元記事をご覧ください。

出典:sorae

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