スターク・スペース、完全再利用ロケット開発に10億ドル調達
米ロケット企業Stoke Spaceが10億ドルの資金調達を完了し、完全再利用可能なロケット「ノヴァ」シリーズの開発計画を具体化した。同社は初号機「ノヴァ・パスファインダー」の打ち上げを2027年初頭に、より大型の「ノヴァ・ブロック2」を2029年に予定しており、SpaceXのファルコン9の後継需要を狙う戦略を明確にしている。
Stoke Spaceの資金調達総額は23億ドルに達し、今回の10億ドルはシリーズEラウンドでの調達だ。この資金は、ロケット本体の製造とテストだけでなく、ワシントン州モーゼスレイク試験場の拡張やフロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地での施設整備に充てられる予定である。同社は洋上での回収プラットフォーム構築も進めており、完全再利用型システムの実現を目指す本格的な投資段階に入った。
パスファインダーとブロック2の技術的な特徴は、他の打上げロケットと大きく異なる。両機とも自社設計の「ゼニス」エンジンを採用し、燃焼ガスの全て効率的に利用する全流段燃焼サイクルを採用している。これは著しい整備負荷を削減する設計思想に基づいている。上段の最大の違いは、液体水素による冷却を受ける金属製のヒートシールドである。セラミックタイルに代わる金属製の放熱構造は、再利用を前提とした耐久性向上をもたらすと考えられる。パスファインダーは7基のゼニスエンジンで、ブロック2は14基に倍増し、上段には直径5メートルのフェアリングと12個の小型双推力チャンバーを配置する設計になっている。
ファルコン9の引退時期の接近が、Stoke Spaceの市場機会となっている。SpaceXのイーロン・マスク氏は、次世代ロケット「スターシップ」の成功は「ファルコン9の段階的な廃止」を意味すると述べており、2030年以降のNASA宇宙ステーション有人打ち上げを除いて、ファルコン9の需要は大きく減少すると予想される。この時間軸は、Stoke Spaceがブロック2で市場に本格参入する時期と重なる可能性が高く、大型衛星コンステレーション打ち上げの需要を取り込む戦略が明確だ。
日本の部品・装置メーカーにとって、ロケット再利用型化の進展は新しい供給機会を創出する。完全再利用を実現するには、従来の消耗型設計よりも高い耐久性・信頼性を備えた部品や素材が必要になるからだ。精密加工、耐熱・耐冷素材、冷却システムの部品など、日本が得意とする領域での貢献の余地があると考えられる。ファルコン9の市場支配が弱まる2029年以降、新しい再利用型ロケットの需要が急速に高まる可能性が高い。
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