8月12日の皆既日食中、オーロラが見える可能性は
2026年8月12日の総日食時に北極光(オーロラ)が観測される可能性が指摘されている。グリーンランド、アイスランド、スペイン北部で見られるこの日食は、地磁気嵐が発生していれば、オーロラゾーン(地球の磁極付近で高頻度にオーロラが出現する地域)にいるため、両現象が同時に観測される可能性は存在する。だが実現には極めて厳しい条件が揃う必要があり、専門家の評価は総じて慎重だ。
最大の障害は、日食の時間帯における空の明るさにある。日食の最中でも、空は完全な暗さにはならず、薄明光(日没直後の薄い暗がり程度)の明るさにとどまる。この程度の明るさではオーロラ、特に昼間側のオーロラが見えにくくなる。ツアー会社ハーティグルーテンのチーフオーロラチェーサーを務める独立天文学者トム・カーシュ氏は、前年にノルウェーで薄明光時のオーロラを撮影した経験があるが、そうした事例は例外的だ。実際、2015年にスヴァールバルで行われた日食観測では、雪に反射した光が月の影の側からも漏れ込み、空が期待以上に明るく保たれたため、オーロラはおろか惑星さえ見えなかったという報告がある。
さらに時間帯の問題も深刻だ。8月12日の日食は、グリーンランドとアイスランドでは午後に発生し、オーロラゾーンの昼間側での観測となる。昼間側のオーロラゾーンは、地磁気嵐時でも夜間側ほどは拡大しないため、視認できる範囲が限定される。見える可能性を持つには、G4やG5といった最上級の地磁気嵐が必要になる。こうした嵐は太陽からのコロナ質量放出(CME)が地球の磁場に衝突するときに起こる現象だ。夜間側のオーロラはこうした強い地磁気活動によって劇的に明るく拡大するが、昼間側でも同様の効果を期待するには、より強い条件が求められるわけである。
それでも可能性がゼロではない点は興味深い。太陽が日食の前数日間に強力なCMEを放出すれば、グリーンランドやアイスランドの観測者は本当に稀な現象を目撃する可能性がある。同じ日はペルセウス流星群も極大を迎えるため、日食、オーロラ、流星という三大天体現象が同時に観測される可能性さえ理論的には存在する。カーシュ氏は、そうした条件が揃った場合の光景について「本当にエクストラオーディナリー(並外れた)」と述べている。ただし、複数の専門家の見方からすると、こうした好条件が全て揃う確率は極めて低い。
この一連の論考が示しているのは、太陽活動と地磁気嵐がいかに予測困難かという現実だ。太陽からのCMEが地球の磁場に与える影響は、単純な規則性を持たない。オーロラのような天体現象さえも、太陽活動の不規則性に大きく左右される。オーロラ観測の成否に関わらず、この2026年8月の太陽活動がどのような状態にあるかを理解することは、地球外の宇宙環境を知る上での重要な契機となり得るのである。
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