エジプト西部砂漠でペルセウス流星群が星の軌跡と交わる
ペルセウス流星群の最盛期を迎えた8月中旬、エジプト西部砂漠で撮影された天体写真が、現代の宇宙環境の急速な変化を鮮烈に映し出した。天体写真家オサマ・ファティが記録したのは、地球の自転による星々の円運動とペルセウス流星が共存する壮観な光景である。だが同時に写り込んだ衛星の軌跡が、この画像に深い意味をもたらしている。それは、宇宙が急速に人工物で埋まっていく、現代の宇宙環境を可視化した一枚でもあるということだ。
撮影は新月で視界が最良だった8月13~14日に行われた。ファティはソニーA7 IIIカメラと16~35ミリの広角レンズで、25秒ずつの露出を240回繰り返し、合計100分間にわたって天空の変化を記録し続けた。この手法により、北極星ポラリスを中心に同心円を描くように見える星の見かけの運動が浮かび上がる。地球の自転によるこの運動を可視化する撮影技法はスターレイルと呼ばれ、高度な技術と長時間の忍耐を要するものだ。その中を走り抜けるペルセウス流星は、彗星109P/スウィフト・タットルの軌道上に散らばるデブリが大気圏に突入して瞬間的に焼き尽くされる現象である。砂粒ほどの微小粒子が秒間で明るく輝き消える。そしてこれと同じフレームに、別の軌跡が記録されている。低軌道を周回する人工衛星が無音で通過した跡だ。
撮影地のエジプト西部砂漠は、地球上でも有数の暗い空を有する天文観測地である。この夜、そこに集まったのは約200人の天文愛好家たちだった。彼らは共に星空を眺め、記録し、その美しさを享受した。しかし同じ夜空を写真という記録媒体に留めると、異なる現実が浮き彫りになる。ペルセウス流星群という数千年にわたって定期的に繰り返される自然現象のすぐ脇を、複数の人工衛星の軌跡が横切っているのである。低軌道通信衛星網の急速な拡張により、かつては稀だった衛星の画像への映り込みが、今や常態化しつつある。衛星が太陽光を反射して生じる「衛星光害」は、天文観測の大敵として国際的な懸念を呼び起こし、プロ・アマチュアの天文家から問題解決を求める声が相次いでいる。
だが宇宙産業の観点からは、この光景は異なる意味を持つ。写真に記録された衛星軌跡の増加は、低軌道衛星コンステレーションの構築が実際に急速に進行していることの証拠である。各衛星は構造体、推進系、通信機器、電子基板といった多岐にわたる精密部品で構成されている。衛星産業の急速な拡大に伴い、部品加工、素材供給、組立製造といった領域での需要が飛躍的に増大している。ファティの写真に記録された衛星軌跡の密度は、単なる天文学的な現象ではなく、宇宙産業全体の拡張期を示す指標そのものである。精密部品製造や素材加工を主軸とする日本の製造業にとって、衛星産業の成長は新たな市場機会をもたらすものであり、産業レベルでの対応と戦略立案が求められる局面にある。
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