悪天候で中国の嫦娥7号月探査機打ち上げ延期
中国の月探査機チェンジェ7の打ち上げが、台湾近くの気象悪化により延期された。当初は2026年8月23日に打ち上げ予定だったが、海南島西側の湾で発生した熱帯低気圧ナラの影響を受け、中国有人宇宙機関はこの年内の打ち上げは不可能だと判断した。報道によると、打ち上げは2027年まで遅れる可能性があるという。
チェンジェ7は月面着陸と軌道探査を目的とする極めて重要なミッションである。打ち上げサイトである文昌宇宙射場は海南島に立地しており、この地域は台風や熱帯低気圧が発生しやすい地帯として知られている。ロケット打ち上げは気象条件に極めて敏感であり、強い風がある状態での発射は極めて危険なため、中国当局は慎重に延期を判断した。当初は1日後への延期も検討されたが、天候の見通しが改善されず、それも実現できなくなった。特に重要なのは、地球と月の軌道位置関係によって打ち上げのウィンドウが厳密に制限されるという点である。単に天候が回復するだけでは十分ではなく、複数の軌道条件を同時に満たす必要があるため、次の打ち上げ機会は相当先になる可能性が高い。インターネット上の報道からは9月以降の打ち上げの可能性を指摘するものもあるが、当局発表に基づけば2027年という見通しもある。
チェンジェ7の探査対象は月の南極付近のシャクルトン・クレーター周辺である。この地域には大量の水氷が存在すると考えられており、特にクレーター内部の太陽が当たったことのない陰った場所に集中していると想定されている。チェンジェ7は軌道船と着陸機で構成され、着陸機の上にはローバーとホッピングロボットが搭載される予定である。これらの機器は月面上を移動して水氷を探索し、その存在や性質を詳しく調べるための探査を実施することになる。月の南極の水氷は、将来の人類による月面拠点建設の重要な資源として位置づけられている。水は飲料水として使用できるほか、酸素と水素に分解して推進剤や呼吸用途に活用することも可能であり、月面での持続的な人類活動を支えるうえで極めて価値が高いのだ。
月の南極での資源開発に向けた競争が国際的に加速している。中国は今後数年で月南極への基地建設を目指しており、米国もNASAのアルテミス計画を通じて同地域への進出を進めている。米当局は、月での生活と活動に関するルール設定の立場を確保することの重要性を強調し、この新しい宇宙開発競争に勝つ必要があると主張している。月面資源へのアクセス権と基地運営の主導権は、今後の宇宙開発における主要な争点になると考えられる。
日本の製造業・部品サプライヤーにとって、月探査の進展は新しい市場をもたらす可能性がある。月面での長期的な人類活動を支えるためには、月の厳しい環境で動作する様々な機器や部品が必要になると考えられる。中国による月南極基地構想の進展は、国際的な月面利用の本格化を象徴する動きであり、こうした需要に応える準備を整えることは、日本のサプライヤーにとって競争上極めて重要な課題になると予想される。
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