ローマン宇宙望遠鏡、系外惑星を「直接」撮像へ
太陽系外の惑星を直接撮影できる新しい宇宙望遠鏡が8月30日に打ち上げられた。ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡に搭載されたコロナグラフは、これまで宇宙で使われたものの中で最も高度な光学装置であり、人類が初めて太陽系外の惑星からの光を直接捉えることが期待されている。
コロナグラフの基本的な原理は、観測対象の星の光を遮断して、その周辺の物体を見えやすくするというものだ。言い換えれば、人工的に日食を作り出す装置である。この概念自体は新しくなく、実は100年以上前から太陽を観察する際に使われてきた。NASAの太陽観測ミッションPUNCHも2025年に打ち上げられ、4機の宇宙機から構成されているが、その一つが太陽のコロナを観測するためのコロナグラフを搭載している。しかし、太陽系外の恒星を観測する場合、コロナグラフの役割はより複雑になる。その星の周りを公転する惑星の光まで見える化する必要があるため、星の光をより高い精度で消去しなければならない。ローマン宇宙望遠鏡のコロナグラフは、対象となる星の光を数十億分の一のレベルまで減光できるという。
ローマン宇宙望遠鏡のコロナグラフが従来のものと大きく異なるのは、その動作原理にある。従来のコロナグラフは物理的に星の光を遮断するが、ローマンのコロナグラフは光の干渉を利用して、星の光波同士をキャンセルさせている。パターン化されたディスクと特殊なフィルターの組み合わせによって、対象星の光に対する破壊的干渉を起こし、光波を相殺させるのだ。その結果、惑星からの反射光だけがコロナグラフを通り抜け、観測器に届くようになる。さらに特筆すべき点は、このコロナグラフが宇宙で初めての「能動型」であるということである。つまり、鏡をリアルタイムで調整して、観測品質を最適化できるのだ。ローマンのコロナグラフには数百個の微小なピストンが組み込まれており、鏡を変形させることで、光の干渉による微小な歪みを即座に補正できる。この精度は原子サイズに近い水準で制御されると考えられている。これらの技術により、ローマンは星よりおよそ1億倍暗い惑星も検出できると期待されている。
ローマン宇宙望遠鏡のコロナグラフが観測対象とするのは、主に木星のような比較的大きな太陽系外惑星である。同時に、惑星形成時に残された塵とデブリの観測も視野に入っている。こうした塵が惑星のハビタブルゾーン(生命が存在できる領域)に存在する可能性があり、その分布を理解することは、地球型惑星の誕生を理解する手がかりとなると考えられている。このローマンでの観測成果は、NASAが次に計画している「Habitable Worlds Observatory」に向けた基礎データとなる見通しだ。
日本の製造業にとって、このような高度な宇宙観測装置の開発は、精密光学部品やメカトロニクス部品の供給機会につながりうる。特に、変形可能鏡やアクチュエータシステムのような複雑な部品、あるいは光学フィルターなどの素材メーカーにとっては、こうした最先端プロジェクトのサプライチェーンに参入することで、国際的な競争力を高める可能性がある。
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