米宇宙軍、軌道上の兵器運用を公表「目的は抑止力」
米宇宙軍は軌道上で兵器を運用していることを初めて公式に認めた。9月15日、ダグラス・シーリス宇宙作戦総司令官が米空軍協会の会議で「宇宙上で運用している兵器で、宇宙を利用した攻撃から国防を守っている」と述べたもので、米軍のスペース戦略の転換を象徴する発言として受け取られている。ただしシーリス司令官は、どのような種類の兵器であるのか、数がいくつなのか、具体的にどう機能するのかについては明かさなかった。だが、軌道上兵器の存在を公然と認めることそのものが、従来の秘密主義的なスペース戦略から大きく舵を切ったことを示している。
米軍はこれまで衛星を使ったGPS、通信、ミサイル警戒などの軍事活動は知られていたが、能動的な対衛星兵器の存在表明は初めてである。この背景には、中国とロシアが対衛星システムを急速に開発していることがある。ロシアは2021年、自国の衛星をASAT(反衛星)ミサイルで破壊し、1500個以上の軌道上デブリを発生させたほか、両国とも電子戦などの技術で米国の衛星システムを脅かす能力を備えている。米国はこうした脅威に対抗するため、過去10年間で軌道上での軍事プレゼンスを急速に拡大させてきた。具体的には過去1年間だけで、SpaceX、Rocket Lab、L3Harris、Boeingといった企業に120億ドルを超える大型契約を授与しており、対衛星兵器や追跡衛星システムなど多岐にわたるプロジェクトが進行している。イラン周辺での軍事行動では、実際に電磁戦を展開して敵対衛星の機能を中断させる運用が行われたとされ、これは物理的な弾頭ではなく信号妨害などの非運動的手段による攻撃であることが示唆されている。
これは宇宙産業全体のあり方を大きく変えようとしている。米宇宙軍が速度重視の態勢構築に進むことは確実で、Rocket Labが実施した「Victus Haze」ミッションでは通知から17時間以内にロケットと迎撃衛星を打ち上げるという記録を達成しており、今後数年で大量の軍事ハードウェアが軌道上に展開されることが見込まれている。大統領のゴールデンドーム・ミサイル迎撃システムの導入計画とともに、これまでにない規模の宇宙軍事化が起きようとしている。
日本の製造業や部品サプライヤーにとっても、この転換は他人事ではない。衛星関連の部品・素材・装置の需要が急増することになるからである。耐放射線部品、信号処理機器、構造材料など、軌道上兵器システムに組み込まれる部品の規格や信頼性基準がより厳しくなり、納期短縮への対応が急務となる可能性がある。軍事用と民間用の境界が曖昧になる中で、日本企業も戦略的にこうした需要に応えられる体制構築が求められる時代になってきた。
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