ボーイング、スターライナーの次期飛行スケジュールでNASAと調整中
ボーイングの有人宇宙輸送船「スターライナー」の運用再開が大きく遅延している。宇宙航空大手ボーイングが7月28日に発表した財務報告で、スターライナーの次の飛行は2026年第4四半期以降になることが明かされた。当初の2026年中の運用開始見通しから数ヶ月から半年以上の延期である。
スターライナーは2年前のテスト飛行で推進器の故障とヘリウム漏洩が発生し、その後無人で帰還している。その時の乗務員として船上に残されたNASA宇宙飛行士2名は、代わりにスペースXのクルードラゴンで帰還するまで9ヶ月間宇宙ステーションに留まることになった。こうした重大なトラブルからの復帰が予想以上に難しいことが、今回の延期につながった。NASAの外部顧問委員会は6月時点で、問題の修復にはさらに1年程度要する可能性があると指摘している。
修復作業自体は進展しているようだが、実際の飛行スケジュールはNASAの国際宇宙ステーション利用計画全体の中で調整する必要があり、その部分が不確定な状態が続いている。ボーイング経営陣は「スケジュール調整は主にNASA側の打ち上げ計画次第」という立場だが、いずれにせよ運用開始までにはなお相当な時間を要することは確実である。このプログラムに対してボーイングはすでに約20億ドルの評価損を計上しており、追加の財務負担が発生しないかどうかが注視されている。
こうした遅延は、宇宙ステーション補給や有人輸送という国際的な商業宇宙サービスの確保に直結する。スターライナーが本格稼働しなければ、スペースXのドラゴンへの依存度がさらに高まることになり、宇宙飛行士輸送や貨物輸送のスケジューリング全体に波及する。さらに注目すべきは、ボーイングが50%を所有する統合発射サービス(ULA)にも経営上の影響が生じている点だ。ULAのロケット「ボルカン」の飛行停止に伴い、ボーイングとロッキード・マーチンは各々5億ドルの融資保証を提供することになった。米国宇宙産業全体が複数の大型プロジェクトで課題を抱えている状況が浮き彫りになっている。
日本の宇宙産業やロケット・衛星・宇宙船向けの部品・素材サプライヤーにとっては、こうした米国の商用宇宙開発の遅延は市場形成のペースに影響を与える可能性がある。ボーイングやロッキード・マーチン、スペースXといった米国企業との取引がある場合、プロジェクトの進行スケジュールが国際的に変動することを想定した事業計画の柔軟性が求められる。同時に、こうした遅延期間を活用して国内の技術開発を進めたり、国際パートナーシップを多角化したりする機会にもなり得る。
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