ULA、ペラー氏を新CEOに指名
United Launch Alliance(ULA)が新CEOにマーク・ペラーを任命した。ULAはボーイング・ロッキードマーティンの合弁会社であり、米国の主要なロケット発射企業の一つだが、その経営責任者交代の背景には、新型ロケット「ヴァルカン」の技術的困難と、それがもたらす深刻な経営課題が控えている。
ペラーはULA内で30年以上のキャリアを持つ経営陣だ。1990年にロックウェル・インターナショナルでスペースシャトル計画の推進システムエンジニアとして入社した後、ボーイングによる買収を経て、2006年のULA設立時から各種ロケット開発に携わってきた。昨年12月にはCOOに昇格していたが、今年8月の人事で即座にCEOに昇格した。これは、ペラーが予定通りにCOOのポストを引き継ぐはずだったジョン・エルボンの職務継続に代わる人事である。エルボンは昨年12月に暫定CEOに指名されることになった。その契機は、長年CEOを務めてきたトリー・ブルーノが突然退職したためだ。ブルーノはその直後、ライバル企業ブルーオリジンの最高経営層に移籍した。
ULAの新体制発足の真の課題は、経営陣の交代そのものではなく、ヴァルカンロケットが抱える技術的・財務的危機にある。ヴァルカンは今年2月、固体ロケットブースターの1つで性能異常を経験し、その後も10月に類似の問題が発生している。このブースターはノースロップ・グラマンが製造しているが、同社は7月のアナウンスで「是正措置」を取ったと述べながらも、再設計されたモーターの納入は年末までずれ込む見通しを示した。この間、ヴァルカンの打ち上げは実質的に止まっている。2月のペラー自身の発言では、2026年に16~18回のヴァルカン打ち上げを計画していたが、それは現在達成困難な状況にある。
さらに複合的な課題がある。ヴァルカンの第1段エンジンはブルーオリジン製のBE-4型であり、これはブルーオリジン自身の新型ロケット「ニューグレン」にも使用されている。ブルーオリジンは5月28日にニューグレンの爆発事故を経験し、それがBE-4エンジンの液体酸素バルブに起因していることを明らかにした。ブルーオリジンは小規模な修正で対応する方針を示しているが、既に製造されたエンジンにも同じ問題が潜在している可能性がある。ULAはこのエンジン供給企業の課題に依存する立場にあり、ブルーオリジン側の対応ペースによってヴァルカン再開のスケジュールが左右される懸念がある。
経営上の影響も深刻だ。ロッキードマーティンはULAに対して5億ドルの融資保証を提供し、ボーイングも同等の保証を実施した。これはヴァルカンのグラウンディングが「ULAの財務状況に悪影響を与えている」との認識を示すものである。日本の衛星・ロケット関連の部品・装置サプライヤーにとっては、ULAの現在の状況は、複数の層での信頼性課題を意味する。ブースターから第1段エンジンまで、複数の調達元での技術的問題が同時発生しており、その解決と納入ペースが自社の供給契約や納期に直結する企業が少なくない。ULAのような統合型ロケット企業の経営危機は、下流のサプライチェーン全体に影響波及する可能性を示唆している。
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