シェス将軍、米宇宙軍司令官に就任
米国宇宙軍は新しい最高司令官を迎えた。ダグラス・シャイス将軍がこの職に就任し、宇宙軍設立以来3代目の司令官となったのである。
宇宙軍は2019年12月に米国防当局により設立された、米軍史上では空軍(1947年創設)以来となる新しい軍種である。米防衛省内の空軍と並行する位置付けであり、所属する要員は「ガーディアン」という独特の呼称を持つ。シャイス将軍は就任までの間、宇宙軍の副司令官として作戦部門を統括してきた。8月6日に上院から昇進と新職務が確認され、ジョイント・ベース・アンドルーズで正式な就任式が行われた。空軍長官によって宣誓を行い、前任のサルツマン将軍および初代司令官のレイモンド将軍も参列して、歴史的な指揮系統の移行を証言した。
シャイス司令官が就任演説で繰り返し強調したのは、宇宙軍の目標が「対抗」ではなく「抑止」であるという認識だ。米国の国防、経済、国民の生活様式が宇宙における優位性に完全に依存していると述べ、現在、対抗国が米国の宇宙能力を破壊・劣化させるための取り組みを日々強化している状況を指摘した。その脅威に対抗するには、米国の戦闘力を実証し、大統領や軍指導部がより多くの選択肢を持つことが必要だと説いている。つまり、宇宙での優位性を以て相手に「攻撃は成功しない」と信じさせることが抑止の本質であると言える。宇宙軍のミッションは、宇宙「内」での、宇宙「からの」、宇宙「への」米国の利益を確保することであり、この責務は日々複雑化している。ガーディアンたちは「見えない前線」で哨戒に当たり、早期警戒の提供、精密攻撃の実現、全球規模での戦闘部隊の統合、敵に聖域を与えないことを担当しているとシャイス司令官は述べた。
宇宙軍への予算配分は劇的な増加を見せようとしている。2026会計年度の予算は320億ドルに設定されており、翌2027会計年度の要求額は710億ドルへと大きく跳ね上がる見通しだ。エアロスペース・コーポレーションによる分析では、この増加規模は過去75年間の米軍全体の中でも最大級の予算増加率に相当するという。この急速な予算拡充は、宇宙領域での国際的な競争が急速に激化している現実を映し出していると考えられる。同時に、米国が宇宙での防衛態勢強化に本気で投資する意思を表明したものとも言える。これほどの予算投下は、単なる既存装備の維持ではなく、新しい能力の開発と戦力の増強の必要性を強く示唆しているのだ。
このような動きは、日本の製造業にとって無視できない展開となり得る。米国宇宙軍が防衛力構築を加速させる過程で、衛星、ロケット部品、高精度電子機器、耐宇宙環境素材など、宇宙システムに用いられる多岐にわたる部品・装置・材料の需要が拡大する見通しである。米防衛産業のサプライチェーン内において、日本の部品メーカーや素材メーカーが関与する余地は十分にあると考えられる。特に、信頼性と品質が厳格に要求される宇宙用途の領域では、実績を積み重ねてきた日本製造業への依存度が相対的に高い領域も存在しており、今後の市場拡大に乗じて参入・拡大の機会が生まれる可能性が高い。こうした商機を戦略的に注視する価値があるだろう。
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