世界初、航空会社が挑む月面輸送ビジネス JALUX・JAL「ARGO PROJECT」の想いとダイモンが支える技術
イメージ JALUXとJALは、ispaceの月着陸船ULTRAを使って各地の文化や想いを月面へ届ける「ARGO PROJECT」を2026年5月に正式始動させた。JALUXの調べでは航空会社として世界初の月面輸送サービスであり、航空会社が月への貨物輸送に本格的に乗り出す動きとして注目される。
背景には、JALグループが2017年からispaceと資本提携を続けてきた経緯がある。2025年11月には3社とispaceが事業共創に向けた基本合意を結び、本プロジェクトはその契約の中で最初の荷物輸送事業として位置づけられた。企画は2025年9月頃に動き出し、一年足らずでispaceとのペイロードサービス契約(PSA契約)締結に至った。打上げの時期がある程度固まっていたため、急ピッチで進められたという。輸送の方式は、コンテナをULTRAの内部ではなく外部に搭載し、着陸後に切り離して月面に放出するものだ。ランダーを月面に着陸させる民間事業者はこれまでもいたが、そこから荷物を運んで放出するまで手がける輸送事業者はいなかったと、ダイモンの中島氏は説明している。コンテナ内部は複数の区画に分けて顧客に販売する仕組みで、中身が決まらないまま設計を進める難しさも語られている。
この出来事が持つ意味は、月面を研究機関や一部の資金力のある主体だけが使う場所から、一般の企業や自治体が荷物を送る先へと広げる試みとして捉えられる点にある。月面の温度は昼に約110度、夜に約マイナス170度まで変化し、真空中で内容物が気化・膨張しないかも課題になるという。こうした環境で荷物を守る設計や素材の知見は、輸送の回数と規模が増えるほど蓄積されていくと考えられる。長尾氏は、今回の方舟を一度きりで終わらせず複数回送り続ける構想も示している。実績が積み上がれば、宇宙向けの部材や輸送資材の需要も安定していく可能性がある。
日本の製造業にとっては、いくつかの関わり方が考えられる。コンテナの固定と放出には、ねじなどの機械的な固定ではなく、糸で結んで焼き切る方式が使われている。軽量で確実な方法である一方、強度や確実性をどう担保するかという課題も残る。軽量化と信頼性の両立は、締結部品や構造材、緩衝材を手がけるサプライヤーにとって参入の糸口になりうる。記事では、区画ごとに中身の質量や形状が異なるため、軽い緩衝材で振動試験をクリアできないかの検討も進んでいるとされる。素材や部材の提案余地は小さくないだろう。さらに、打上げはH3ロケットを使う見通しで、「オールジャパン」で挑む体制が強まれば、国内の部品や素材の調達機会も広がる可能性がある。
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出典:Space Media