NASA、ISS退役後を見据えた商業宇宙ステーションの提案を募集 2027年春に契約へ
イメージ 2026年10月9日、アメリカ航空宇宙局(NASA)は、国際宇宙ステーション(ISS)の退役後を見据えた次世代の商業宇宙ステーションについて、産業界から計画を募る最終版の提案依頼書(RFP)を公表した。提案の締切は12月8日、契約締結は2027年春を予定しており、この日程は事業者が準備を進めるための目安になると考えられる。
募集対象は、有人宇宙飛行のためにステーションと輸送サービスを一貫して提供できる「CLD(Commercial Low Earth Orbit Destination)」の設計、製造、試験、認証、運用である。契約は確定固定価格方式で、複数社に発注するIDIQ契約の形がとられる。まず初期開発の段階で2社以上を選び、その後の競争を通じて、最終的な設計、試験、評価、認証、サービス提供を担う事業者を1社以上選ぶ方針だ。つまり一社に決め打ちするのではなく、複数の候補が並走し、競争の中で実力を示した事業者が残る仕組みである。NASAは3月に情報提供依頼書(RFI)を2件公表し、7月にはRFP草案を示して業界説明会や個別面談を実施してきた。今回の最終版は、こうした意見交換を経て固められたものといえる。
背景にあるのは、ISS退役後も地球低軌道(LEO)で米国の有人活動を途切れさせないという課題である。NASAのジャレッド・アイザックマン長官は、CLDについて事業として経済性が成り立つことが前提だと強調した。NASAの需要に応えるのはもちろんだが、NASA以外の顧客や市場を自ら開拓できる企業による、実現性の高い計画を求めている点が重要だ。国の発注に依存しきらない事業モデルが、評価の大きな軸になると考えられる。
宇宙産業にとって、この動きは政府が主導する段階から、民間が自立して有人宇宙活動の基盤を運営する段階へ移る節目を示すものと考えられる。ステーション本体や輸送機だけでなく、それを地上で試験し、認証を得て、継続的に運用するための体制まで事業者が担う点は、従来の発注とは性格が異なる。サプライチェーンの側から見れば、一つの大きな発注先が決まるのではなく、複数の事業者がそれぞれ独自の設計思想で部材を求めるため、調達先の顔ぶれや要求仕様は提案の内容によって大きく変わる可能性がある。
日本の製造業や部品サプライヤーにとって、この案件が直ちに受注につながるわけではない。直接の取引相手は提案を行う事業者になり、その選定は2027年春以降となるためだ。ただし、有人宇宙向けの構造部材、熱制御、電装品、試験装置などの要求仕様は、提案の段階から徐々に具体化していくと考えられる。品質管理や認証に対応できる部材・装置の実績を用意しておくことが、複数の事業者が並ぶ市場で選ばれる素地になりうる。今回の公募は、国内企業が有人宇宙の供給網に関わる入り口を探るうえで注目に値する。
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出典:Space Media



