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長期の宇宙探査を支える「半永久電源」とは? 技術開発の最前線に迫る

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日本の原子力研究開発機構が、使用済み核燃料に含まれるアメリシウムを宇宙探査用の電源に変える研究を進めている。従来の太陽電池に代わる、数百年にわたって安定電力を供給できる「半永久電源」の開発であり、月面や深宇宙での長期探査を実現するための要となる技術である。

この開発の背景にあるのは、宇宙環境の厳しさと放射性廃棄物の有効活用という二つの課題の統合である。月面では2週間続く長い夜間に太陽電池は機能しない。木星や土星などの深宇宙では太陽光がほぼ到達しない。こうした環境での探査・開発に必要な電源確保が、従来は難しい課題であった。一方、原子力発電の廃棄物として地層処分が検討されていたアメリシウムは、自ら熱を出す性質を持つ。この特性を逆に利用し、放射性物質の崩壊時に放出する熱を熱電変換デバイスで電気に変える仕組みが、開発の核となっている。アメリシウム241の半減期は432年という非常な長さであり、メンテナンスなしに数百年の運用が可能になるのだ。

米国はこれまで、プルトニウム238を用いた原子力電池をボイジャー1号・2号などの探査機に搭載し、星間空間での通信を実現してきた。プルトニウム238はアメリシウムより約5倍の発熱量を持つが、その一方で核兵器用プルトニウムと同等の高度な製造技術が必要であり、規制上も厳重な管理が求められている。そのため、実用化しているのは米国、ロシア、中国の3カ国のみである。日本がアメリシウムに着目する利点は、国内規制上プルトニウムより取り扱いのハードルが低いことである。高度な製造技術や厳重な管理体制が求められるプルトニウムと異なり、アメリシウムであれば純国産の原料と技術で開発を進めることが可能になる。ヨーロッパでも同様の開発が進行中だが、日本は独自の立場でこの分野をリードしようとしている。

開発上の最大の課題は安全性である。ロケット打ち上げ時の爆発、軌道投入失敗による大気圏再突入など、様々な極限状況を想定し、ピンの内部に密封されたアメリシウムが漏れ出ない設計が必須となる。そのため、タングステンなどの重金属容器による内部防護、炭素繊維複合材の断熱材による外部保護といった多重防護策が検討されている。また、アメリシウムの酸化物は温度や酸素濃度により結晶構造が変化しやすく、安定したペレット製造が難しいという特有の課題に対しても、添加物の混合による固溶化という手法で克服されつつある。2026年度中には爆破試験も計画されており、実証レベルのプロトタイプ完成は2029年2月を目標としている。

電源の初期出力は0.5ワットと限定的だが、複数基の搭載で対応する設計であり、月面探査機の保温や深宇宙探査機の電源として活用される見込みである。さらに高野氏ら開発チームは、地上での応用も視野に入れている。人が容易に近づけない海底の地震計、南極の気象観測装置など、長期メンテナンスフリーが求められる機器への応用である。廃棄物を資源へと転換するこの開発は、タングステン容器や炭素繊維複合材の断熱材、熱電変換デバイスといった要素部品を手がける国内メーカーにとって、宇宙レベルの信頼性と長期耐久性を求められる新たな市場を開く可能性がある。複数基の搭載を前提とした設計は、部品の標準化と量産化の課題をもたらす一方で、国内産業全体における技術的なポジション確立にも寄与するであろう。

※ 内容の紹介はここまでです。続きは元記事をご覧ください。

出典:Space Media

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