JAXAとイッセイミヤケのブランド、衛星画像を活用したジーンズを製作 特別展で展示へ
イメージ JAXAと高級ファッションブランド「イッセイミヤケ」が連携し、気候変動観測衛星「しきさい」が捉えた南極の画像をジャカード織り技術で表現したジーンズを製作した。衛星から得た地球観測データをファッション製品に組み込むという異色のコラボレーションが実現し、東京での特別展を経て製品化される。
このプロジェクトは、JAXAとイッセイミヤケが2月に締結した連携協力協定から生まれた最初の企画である。GCOM-Cが観測した南極の地表画像を、A-POC ABLE ISSEY MIYAKEが持つジャカード織り技術によって布に再現するもので、衛星画像の色彩や質感をそのまま織物に落とし込む発想である。特別展は10月21日から11月19日にかけて東京・港区の21_21 DESIGN SIGHTで開催され、その後ジーンズは製品化・販売される予定だ。従来、衛星画像は科学論文や防災情報といった限定的な領域での活用に留まってきたが、今回の試みは高度な地球観測データを日常的な消費財へ展開するという新しい社会実装の形を示している。
地球観測事業は社会的には極めて重要だが、一般層の認知度が低いというのが課題だった。JAXAが宇宙開発に投じる技術的リソースはロケット打ち上げや国際宇宙ステーション関連などの派手なテーマに注目が集中しがちで、気候変動監視や海洋・大気観測といった地球観測は関心層に届きにくかった。今回のコラボレーションは「科学技術×デザイン」という異領域の融合を通じて、これまで宇宙事業に関心を持たなかった消費者層にも地球観測の価値を伝える戦略と考えられる。ジーンズという身近な衣服に衛星画像が組み込まれることで、着用者は初めて「自分たちの日常が宇宙からの観測に支えられている」という意識を持つ機会を得ることになるだろう。
宇宙産業のサプライチェーン観点からも、このプロジェクトは重要な示唆を持つ。衛星データを社会実装する新しい手段が増えれば、地球観測衛星そのものの需要拡大も見込まれ、それに伴い精密部品や新規素材の開発ニーズが生まれる可能性がある。また、高度な精密性を要求される織物工業がJAXAのような最先端の研究機関と直結することで、日本の繊維・衣料産業が宇宙開発で培われた新しい技術や素材を吸収する経路が形成される。衛星画像の色情報を布の密度や配色に正確に変換する技術には、精密加工最適化の知見が活かされており、従来は交わることのなかった宇宙と衣料産業が技術を共有する例は稀だった。
日本の部品メーカーや素材企業にとって、衛星データを活用するビジネスが拡大することは直接的な波及効果をもたらす。地球観測の商用化が進み、衛星データ活用を軸とした新事業が増えるほど、それに対応する精密部品や新規素材開発の機会が増加する。また、宇宙技術と一般産業の接点が増えることは、従来は契約単価や技術基準の理由で宇宙産業との関わりが薄かった中堅・中小の部品サプライヤーにとって、新たな事業領域への参入機会を創出する可能性がある。今後、このようなクロスオーバーがどの程度まで広がるかが、日本のものづくり産業全体にとって重要な変数になりうるだろう。
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出典:Space Media


