NASA・ESA宇宙飛行士、ISSで通信アンテナ交換に向け船外活動を実施 設置完了は次回に持ち越し
イメージ 国際宇宙ステーション(ISS)で地上通信用アンテナの交換作業が進行中だ。NASA宇宙飛行士アニル・メノン氏とESA宇宙飛行士ソフィー・アデノ氏は8月18日の船外活動で、故障したアンテナの取り外しと固定作業をおおむね完了させたものの、交換用アンテナの設置は予定より時間がかかるため、次回の作業に持ち越すことになった。米東部夏時間の午前8時29分から午後2時52分まで、6時間23分にわたる船外活動となった。
このアンテナはヒューストンのミッションコントロールセンターとISS間の高速通信に用いられる重要な機器だ。宇宙ステーションの運用には地上との安定した通信が必須であり、通信品質の低下はミッション全体に影響する。今回の交換作業は取り外し、ケーブルの処理、新しいアンテナの取付けという複数の工程に分かれており、6時間半の船外活動で取り外しまでの段階で時間を使い切ってしまった形だ。故障したアンテナの取り外しと、ISSのトラス構造部への長期固定作業は完了したものの、電気ケーブルの取り外しやボルトの緩め作業が想定より時間を要したため、設置は次回以降に延期された。次回の船外活動は8月25日に予定されている。ただし、別の正常なアンテナが稼働中であるため、ISSと地上、および衛星経由の通信は維持されており、運用上の大きな支障は生じていない。
宇宙施設の保守・交換作業が予定通りに進まないことは珍しくない。微小重力環境での作業は地上での想定と異なる場合が多く、部品が想像以上に固着していたり、宇宙線や極度の温度変化による材料劣化が予想と異なったりするためだ。今回も、金属パーツの固着やケーブルの硬化といった要因が作用した可能性がある。こうした現場の不確実性は、設計段階での耐環境性試験や、交換可能性の検討がいかに重要かを示唆している。実際の宇宙環境での作業実績は、次世代機器の設計に直結する貴重なデータとなる。
今回はISS通算282回目の船外活動であり、アデノ氏にとって初の船外活動、フランス人女性としても初めての宇宙遊泳だった。こうした人類の宇宙活動の継続は、宇宙産業の実運用を支える多くの企業や技術者の努力に支えられている。日本の宇宙産業に携わる部品・装置メーカーにとって、ISSでの実際の保守・修繕作業の報告は、自社製品の設計改善や信頼性向上の参考になる。宇宙環境での実運用データから課題が見つかれば、それは国内サプライチェーン全体の技術レベル向上につながっていく。修理や交換が計画通りに進まないという経験も含めて、そこから得られる教訓が、今後の月面基地や次世代宇宙施設の設計に活かされることになる。
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出典:Space Media


