スターシップ14号機、初軌道飛行へ
イメージ SpaceXは2026年9月28日、スターシップの初めての地球周回軌道飛行となる「Flight 14」を実施する予定で、打ち上げ予行演習を完了した。同時に、GoogleもSpaceXのロケットを使い、軌道上で独自のAIチップをテストする計画を発表している。宇宙での商用技術利用が、いよいよ実運用の段階に入ろうとしている。
これまでのスターシップ13機は、いずれも球を高く投げるような亜軌道飛行で、宇宙には到達するものの約1時間で地上に帰ってくるものだった。Flight 14は打ち上げから約25分後にエンジンを再点火する「軌道投入バーン」を実行し、地球の周りを周回し続ける速度を得る。高度約275キロメートルでおよそ10時間かけて6周回する計画である。この飛行では、26個のStarlink V3衛星が軌道に投入される予定で、数週間以内に通信網に加わる。これら衛星が提供する通信容量は、従来型のファルコン9が打ち上げるStarlink V2 Mini衛星1回分の約10倍に相当するとSpaceXは述べている。船体の改良も進んでおり、熱シールドタイルの追加固定やプラズマ漏入対策、新型タイル設計が施されている。
同時期に発表されたGoogleの軌道AI計画は、この転換の象徴的な意味を持つ。GoogleはProject Suncatcherと呼ぶ試験衛星「MVP」を軌道上に投入し、独自のテンソル・プロセッシング・ユニット(TPU)4個で、AIモデルの実行をテストする。冷蔵庫サイズのこの衛星は太陽電池から毎秒約1キロワットの電力を得て、約15分単位でGemini AIモデルを実行した後、シャットダウンして放熱する計画である。一方、SpaceXも独自に「AI1」という大型軌道コンピュート衛星を開発中で、テキサス州バストロップに「ギガサット工場」を建設し、2027年末までに年間1ギガワット相当の宇宙コンピュート衛星を生産することを目指している。これらの動きは、地球と宇宙をつなぐ新しい産業インフラの構築が本格化したことを意味する。
軌道投入の定常化やコンピュート衛星の本格展開には、耐宇宙環境を満たす高精度部品、通信モジュール、熱管理システム、放射線耐性を備えた電子部品が不可欠となる。Flight 14でも、スターシップの船体熱シールドにはタイルの改良が加えられ、前回飛行から回収した2個のタイルが再利用される。商用軌道運用が定常化していくにつれ、このような部品と素材の需要は急速に拡大していくと考えられる。特に、小型衛星の多数投入と、それらの長期軌道運用を支える部品サプライヤーとしての役割は、日本の製造業にとって新たなサプライチェーン機会をもたらすだろう。
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