宇宙の2大ミステリー、ダークマターとダークエネルギーを結びつけるかもしれない「ダークディメンション」とは
宇宙全体の約95パーセントを占めるダークエネルギーとダークマターが、独立した存在ではなく物理的に結びついている可能性が、観測的に支持されつつある。これまで両者は別々の謎とされてきたが、最新の宇宙観測とそれに基づく理論物理学の進展により、共通の起源を持つ可能性が浮かび上がってきたのだ。
この転機となったのは、2024年にダークエネルギー分光装置(DESI)が発表した観測結果である。従来、ダークエネルギーは時間とともに変わらない宇宙定数だと考えられていたが、大規模なデータセットに基づく観測が、ダークエネルギーの強さが時間とともに変化していることを示唆した。その後の詳細な解析では、ダークエネルギーが約20億年前に最大値に達した後、弱まり始めたという仮説が提示された。さらに興味深いのは、それ以前の時代にはダークエネルギーが強まっていた可能性まで示唆されたことである。これらの発見は、ダークエネルギーとダークマターが単なる無関係な物理的存在ではなく、相互作用しているのではないかという問いを生じさせた。従来、両者は互いに独立していると仮定されてきたが、一方が他方に影響を与える可能性が次々と検討されるようになったのである。
物理学者たちはこの相互作用を説明するため、弦理論に基づいた新しい概念を提唱した。それが「ダークディメンション」という、通常の4次元(3次元の空間と1次元の時間)とは別の余剰次元である。弦理論では複数の余剰次元の存在が予測されているが、これらは通常極めて小さいと考えられている。しかし研究者たちは、ダークディメンションは他の余剰次元より相対的に大きく、その中で重力を伝える素粒子である重力子が質量を持つようになり、「ダークグラビトン」として振る舞う可能性を示唆した。このシナリオでは、ダークディメンションのサイズ変化がダークエネルギーとダークマターの両方に影響を与えることになり、両者の相互作用が自然に説明される。
興味深いのは、これらの理論的予測が観測データと矛盾しないということだ。複数の研究チームは、異なるアプローチ(弦理論、宇宙論観測、素粒子物理学)から導き出した予測が相互に一貫性を持つことを示した。特に、約20年前に銀河相互作用を分析した古い理論的枠組みすら、最新の弦理論の予測と合致することが明らかになった。このように、抽象的な理論が観測可能な現象と結びつき、かつて別々の分野と考えられていた研究が共通の問題へと収束する段階に達したことは、基礎物理学の研究に転機をもたらすものと考えられる。
日本の製造業、特に宇宙関連の部品・装置・素材を扱う企業にとって、このような基礎科学の進展は直接的ではないかもしれない。しかし、DESIのような大型観測装置の開発や維持には、精密機器、計測センサー、光学部品など、多くの高度な製造技術が必要とされる。基礎研究が新たな観測の必要性を生み出し、それが新しい計測・検査技術の開発につながるという循環の中で、製造業の役割は不可欠である。宇宙科学の謎の解明に向かう観測能力の拡張は、長期的には産業化の可能性をも秘めているのだ。
※ 内容の紹介はここまでです。続きは元記事をご覧ください。
出典:WIRED.jp




