恐竜を絶滅させた小惑星、衝突時に発生した熱が地上を焼き尽くしていた可能性
イメージ パーデュー大学の研究チームは、6600万年前の恐竜絶滅の直接的な原因が、衝突後に地表を焼く高熱であったと報告した。従来の「塵による太陽光遮断と長期寒冷化」説に対して、衝突直後の数時間が極限の高温環境であったことを明らかにしたのである。
メカニズムはこうだ。直径10km程度の小惑星がユカタン半島に衝突すると、地表の岩石が蒸発して0.25mm程度のガラス粒に固まり、秒速数kmで大気圏へ落下する。この粒が空気との摩擦で加熱され、流れ星の燃焼と同じ現象が全地球規模で発生する。同時に蒸発岩の一部は赤血球程度の微細な塵として大気に留まり、これが熱を保温する断熱層として機能した。鍋の蓋に例えられるこの塵層が、粒からの赤外線を地上へ反射させたことで、従来計算の3.5倍の熱が地表に到達した。人間が全身焼死する基準とされる強度の17倍である。太い木の幹に火をつけるほどではないが、草や地衣類の燃焼温度は軽く超えていた。隠れ場所を持たなかった大型恐竜は、最初の1~2時間で逃げ場もなく焼かれた。一方、土中に潜る習性のある小型哺乳類や、穴に巣を作ったり水に潜ったりできるグループ、やがて鳥へと進化するグループだけが生き残ったのである。
これまでの研究は塵が太陽光を遮断する効果のみに注目し、衝突直後の塵が何をしていたかを追跡していなかった。蒸発岩のすべてが粒に固まったわけではなく、固まらずに残った分が細かな塵になるが、パーデュー大学のブランドン・ジョンソン氏がこの塵の初期段階での役割を計算し直したことで、全く異なる絵が浮かび上がった。その後、この塵は役割を変える。最大15年間大気に留まって太陽光を遮断し、地表気温を15℃低下させ、2年近く光合成を阻害したとされているが、恐竜の大多数は既にこの時点では消滅していたことになる。
ただし、この高温仮説を支持する地層の証拠は、現在のところ北アメリカでしか確認されていない。ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジの古生物学者は、世界中での同様の火事痕跡が将来発見される可能性を指摘しつつも、現時点では検証が不十分だと述べている。今回の研究は、極限環境での物質の挙動メカニズムを示すもので、宇宙産業における隕石衝突リスクの評価や宇宙機器の耐熱設計にも参考になる可能性がある。日本の部品・素材メーカーが宇宙用途の耐熱コンポーネントを開発する際にも、衝突時の熱放射と断熱効果といった複合的な物理現象を正確にモデル化し、設計マージンを確保することの重要性が示唆される。
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出典:カラパイア




