ロケット加速で障壁に激突!米国の次世代核兵器輸送トレーラーが最終衝突テストをクリア
イメージ 米国のサンディア国立研究所が、核兵器を運搬するトレーラーの最終衝突テストに成功した。ロケットモーターで加速させた試作車を巨大な壁に正面衝突させ、極限の条件下でも核物質が安全に保護されることを実証した。
核兵器の製造と同じくらい、その輸送は失敗が許されない任務である。サンディア国立研究所はエネルギー省の国家核安全保障局傘下にあり、1970年代初期に初代の専用トレーラー「セーフ・セキュア・トランスポート」を開発。1990年代には第2世代の「セーフガーズ・トランスポーター」へと進化させた。第2世代は18輪の大型トラックで、不正持ち出し防止機能と全炎包囲時の耐性を備えていたという。現在開発中の第3世代「モバイル・ガーディアン・トランスポーター」は、2020年の側面衝突テストに続き、2025年秋に最終テストを迎えた。
今回の試験は極めて綿密に設計されていた。実際の運搬車と同じ寸法の試作トレーラーの内部に模擬核兵器を積載し、複数種類の核兵器輸送を想定して本体、貨物固定装置、輸送容器の耐性を検証した。ロケットモーターで加速させ、試験軌道上に設置された壁へ正面から激突させるまで数秒だったが、準備には1年半以上を費やした。衝突時の加速度、ひずみ、加わる力、温度など約500項目のデータがセンサーで記録され、36台のカメラがあらゆる角度から激撃を捉えた。テストディレクターのジェームズ・ダイクス氏は、100項目のデータだけでも複雑な試験だと指摘しており、今回はサンディア国立研究所のロケットスレッド試験場の過去最大規模のデータ収集となった。
トレーラーは凄まじい衝撃に耐え、すべての試験目標を達成した。ただし成功だけで安全評価が完結したわけではない。研究チームは取得したデータを衝突前の予測と照らし合わせ、トレーラーと貨物への影響を詳細に分析中だ。責任者のジェイソン・バーガー氏によると、このデータをもとに現実の道路での事故シナリオをコンピューター上で再現するシミュレーションを構築する。完成したシミュレーションは、核物質が事故の衝撃から保護され、一般市民への危険が生じないか評価するために活用される。
この試験から、米国が核兵器輸送という最重要課題に投じる技術的厳密さが見える。一度の失敗も許されない環境では、冗長性のある計測システム、膨大なデータの同時取得、複合的なシミュレーション検証という多層的アプローチが採用される。日本の製造業にとって、極限環境での構造耐性試験の手法や膨大なセンサーデータ処理の技術は、自動車や産業機械の安全性評価と通じるものがある。衝突時の局所変形を許容しながら内部の重要部品を守る設計思想や、冗長性を確保した計測システムといった考え方は、高い信頼性が求められる製品開発にも応用可能だと考えられる。
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出典:カラパイア




