地球外文明が恒星の自転エネルギーを奪っている可能性。高校生が候補となる天体を発見
イメージ 地球外知的生命体の痕跡を探す研究に、新しい着眼点が加わった。恒星の光を集める「ダイソン球」ではなく、恒星そのものが持つ自転エネルギーを吸収する何らかの巨大構造物の存在を想定する理論が、トルコの高校生によって提案されたのだ。ケプラー宇宙望遠鏡のデータから、その痕跡と考えられる候補星2つが発見されている。
これまで地球外文明の証拠を探す天文学では、「テクノシグネチャー」という言葉で人工の構造物や活動の痕跡を追ってきた。最も有名な仮説が、1960年に物理学者フリーマン・ダイソン博士が提唱した「ダイソン球」である。恒星から放たれるすべての光を人工構造物で受け止め、エネルギーに変える巨大建造物の想像図だ。この構造物は受け取った光を使い切れず、余分な熱を赤外線として宇宙に放出するはずだと考えられ、天文学者は赤外線観測衛星で数十年にわたってその痕跡を探してきた。だが、ダイソン球だと確定できる天体は今のところ一つも見つかっていない。
トルコの首都アンカラにあるアタテュルク高校に通うシャヒン・トルラクチュクさんは、ここに疑問を持った。恒星が持つエネルギーは光だけではなく、自転しながら回り続ける回転運動にも蓄えられているではないか。もしも高度な文明が恒星の自転エネルギーを意図的に抜き取る装置を作れば、ダイソン球よりはるかに少ない材料で構成でき、発生する廃熱も観測不可能なほど小さいだろう。この「Stellar J-Harvesting(恒星角運動量ハーベスティング)」と名付けられた理論では、磁場と電気の力を利用して恒星の自転にブレーキをかけるという3つの方法が示されている。地球外文明が自転エネルギーを吸収し続ければ、恒星の回転速度は徐々に遅くなるはずだ。つまり、同じ年齢で類似の特性を持つ周辺の星と比べて、統計的に異常に遅い自転速度を示す星を探せば、その痕跡に達することができる。
トルラクチュクさんはこの理論を提唱するだけにとどまらず、NASAのケプラー宇宙望遠鏡が得たデータを自ら解析した。恒星を色と表面重力で分類し、自然に自転が遅くなる恒星や連星システムなど、理論と無関係な要因を統計的に除外していった。残された主系列星の中から、同じ年齢の周辺星が5〜10日で1回転するのに対し、KIC 6606183は約61日、KIC 9834255は約65日もかけて1回転する2つの異常星を発見したのだ。
ただし、トルラクチュクさん自身は慎重だ。論文では、見えない伴星の存在や恒星内の金属量の少なさなど、自転が遅くなる別の理由の方が可能性として高いと指摘している。実際、ヨーロッパの衛星ガイアのデータを確認すると、KIC 6606183には隠れた伴星の兆候があり、金属量も基準以下だった。つまり、2つの星は確定的な候補というより、さらなる分光観測や高解像度撮影による追加調査が必要な対象と位置づけられている。それでも、恒星の自転という誰も注目していなかった観測点に、地球外文明探索の新たな道筋を示したことの意義は小さくない。この若い研究者の発見は、今後の宇宙観測技術を進展させるきっかけになると考えられる。分光観測機器や高精度の撮影装置など、次世代の宇宙天文台を支える部品・装置の需要も拡大していくだろう。日本の製造業が宇宙産業の基礎研究を支える部品供給の担い手となるためには、こうした新しい理論と観測ニーズの発展を早期に察知し、技術開発に組み込んでいくことが重要になる。
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出典:カラパイア




