JWST、重い初期ブラックホールの種が形成された場所を発見した可能性
超大質量ブラックホールの種となる中間質量ブラックホールが、初期宇宙の高密度な星団で生まれた可能性を、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測対象をもとに理論モデルで示した研究が発表された。ブラックホールそのものを観測したわけではなく、生成の舞台となりうる環境を提示した研究である点が出発点になる。
超大質量ブラックホールは、恒星質量ブラックホールが合体を重ねて成長したとする階層的な合体モデルで説明されることが多い。その途中段階にあたる中間質量ブラックホールは、観測的な証拠がまだ少ないものの、重力波の観測や天の川銀河の球状星団オメガ・ケンタウリでの高速な星の運動から存在を支持する報告がある。今回の研究が対象としたのは、重力レンズ効果によって見えている二つの初期銀河である。宇宙誕生から約4億6000万年の時期の「Cosmic Gems」の弧状銀河では5つの若い大質量星団が、約6億年の時期の「Firefly Sparkle」では10の星団が確認されている。研究チームは、星団内での恒星同士の衝突と恒星風による質量損失を組み込んだモデルで中間質量ブラックホールの質量を見積もり、その結果を直接のN体シミュレーションで検証した。
結果は二つの星団群で大きく分かれた。Cosmic Gemsの星団は半径が約1パーセクと非常にコンパクトで、金属量が低いことも相まって恒星風による質量の流出が抑えられ、1,600〜2,700太陽質量という重い種が生まれうると見積もられた。一方、Firefly Sparkleの星団は半径が4〜6パーセクと大きく総質量も小さいため、生まれるブラックホールは約180〜810太陽質量にとどまる。ここから読み取れるのは、種の重さを左右するのが星団の密度と初期宇宙特有の低い金属量であるという点だ。研究チームは、重い種が高い赤方偏移の時代に超大質量ブラックホールを育てるうえで有利になると述べている。また、JWSTが見つけた「リトル・レッド・ドット」の正体を説明する候補の一つにもなりうるとされている。
ただし、これは観測で中間質量ブラックホールを直接確認した成果ではない。研究者自身も前提や限界を挙げており、結論は暫定的に扱うべきである。とはいえ、JWSTが初期宇宙の高密度な星団を個別に分解して調べられるようになったことは、今後の宇宙望遠鏡の観測計画の方向性を左右しうる。観測がさらに高度化すれば、光学系や検出器、低温でも形状を保つ構造部材などへの技術要求が高まる可能性があると考えられる。
日本の製造業、とりわけ部品や装置を手がける企業にとって、この研究が直接の受注に結びつくわけではない。ただ、宇宙観測機器に求められる精密加工、熱変形の少ない材料、温度管理された構造などは、基礎科学の観測要求が厳しくなるほど仕様が高くなる分野である。高精度の加工・計測や材料評価の技術を持つ国内サプライヤーにとっては、将来の観測計画や仕様の動向を追うことが、事業機会を見極める手がかりになるだろう。
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出典:Phys.org / 自動翻訳のため訳文が不正確な場合があります




