小惑星の形状によって、偏向させるために核爆発を狙うべき位置が変わる
小惑星が地球に接近した場合の防御策のひとつとして、核爆発で生じるX線を小惑星の片側に当て、蒸発した表面物質の反動で軌道をわずかにずらす方法が検討されている。サンディア国立研究所のネイサン・ムーア氏らが学術誌『Icarus』に発表した新たなシミュレーションでは、凹凸の大きい不整形の小惑星の場合、X線を当てる面の選び方によって推力と自転の変化が大きく変わることが示された。
従来の解析モデルの多くは、計算を単純にするため小惑星を球体として扱ってきた。今回の研究チームは、宇宙機のフライバイで得た高解像度の3次元形状データを入力に用い、サンディアで別の目的に使われてきた二つの高精度コードを組み合わせることで、任意の形状を扱える計算手法を作り上げた。このモデルは表面のどの部分がどれだけ蒸発するかを熱マップとして示し、そこから推力、自転の速さ、表面の破砕の程度を算出する。結果として、同じ小惑星でも照射面によって速度変化が3.9ミリメートル毎秒と0.8ミリメートル毎秒と約5倍の差が出た。別の小惑星では自転速度の変化が17倍に達したという。従来より1600倍以上速く計算できる点も、この精度を実用的な時間で得られた要因である。
この結果が示すのは、防御の成否が天体の形状を正確に把握することと、狙う面を適切に選ぶことに強く依存する可能性があるという点である。一方で、現在のモデルは表面の岩石の破砕しか扱えず、天体全体がどう壊れるかは正確に予測できていない。防御の目的は小惑星を押し動かすことであって、砕いて危険な破片を増やすことではないため、この点は大きな課題である。X線照射が引き起こす複数の現象が互いに影響し合うことを踏まえると、包括的な予測にはさらなる研究と計算ツールへの投資が必要だと考えられる。
製造業の視点では、直接関わるのは宇宙機の推進系や照射装置の設計だが、部品・素材の面でも関わりうる。例えば、極端な熱や放射線の環境に耐える材料、高出力機器を安定して動作させる電子部品、そして小惑星の形状を精密に取得するための光学・計測機器などが候補になると考えられる。ただし今回の成果は防御手段の検討段階の研究であり、すぐに実機の発注につながる話ではない点は押さえておくべきだ。
記事も指摘するように、解析には全方位からの正確な形状データが必要であり、接近が分かってから十分な情報を集める時間があるかは不透明だ。また、爆発物を理想的な距離と方向に配置することも容易ではないと見られる。それでも、本研究は防御計画を立てる際の推測を減らし、成功の確率を高める道具になると考えられる。
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