独Isar Aerospace、衛星打ち上げに初成功。7号機まで製造中【宇宙ビジネスニュース】
イメージ ドイツのIsar Aerospaceが、小型ロケット「スペクトラム」の2回目の打ち上げで衛星の軌道投入に成功した。欧州の民間企業が自ら開発したロケットで衛星を軌道に送り込んだのは今回が初めてであり、欧州の自前の打ち上げ能力を語るうえで節目となる出来事である。
同社はミュンヘン近郊で2018年に設立された企業で、ミュンヘン工科大学出身の創業者らが立ち上げた。スペクトラムは全長28メートル、直径2メートルの2段式ロケットで、液体酸素とプロパンを推進剤とし、地球低軌道に最大1000キログラムを運ぶ設計である。初号機は2025年3月に打ち上げられたが、30秒後にエンジンが停止して海に落下した。原因として、ガスを排出する弁が意図せず開いたことと、機体の回転動作の開始時に姿勢制御を失ったことが説明されている。今回の成功は、この失敗を踏まえた改修の成果と読める。開発には民間投資に加え、欧州宇宙機関(ESA)の支援も受けてきた。2026年8月にはESAの支援プログラムで約2億ユーロ規模の契約を結んでいる。
事業面では、米国の打ち上げサービス企業SEOPSとの追加5回の契約が注目される。2028年から2030年にかけての専用打ち上げで、SEOPSは複数の衛星事業者の衛星を相乗りさせるウェイメーカーというサービスを通じて顧客を取りまとめる。同社によれば、2028年の打ち上げ枠はほぼ埋まったという。背景には、ファルコン9の将来の運用終了の可能性が取り沙汰され、顧客が代替となる打ち上げ枠を急いで確保しようとする動きがあるとみられる。打ち上げ需要そのものが増えていることも、この流れを後押ししていると考えられる。同社は2027年に少なくとも4回、2028年には打ち上げ能力を2倍強に増やす計画を示した。
製造業の視点で見ると、この計画は機体の量産化を意味する。ミュンヘン近郊では約4万平方メートルの新工場への移転を進め、開発と製造の拠点を集約し、自動化を進めることで年間最大40機の製造を目指すという。機体の大幅な設計変更は予定されていないものの、量産性を高めるための細かな変更は行われる可能性がある。初号機の失敗原因が弁という機能部品だったことを考えると、流体制御部品の信頼性や品質管理への要求は今後さらに高まると考えられる。日本の部品・装置メーカーにとっては、バルブや配管、精密加工、試験・検査設備などで受注機会が生まれる余地がある。加えて、宇宙環境利用・回収機のあおばや、日本企業の衛星除去実証であるELSA-MとADRAS-J2もスペクトラムでの打ち上げが予定されており、日本の宇宙ミッションとの接点も広がっている。
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出典:宙畑


