ロケットラボ、QPS研究所の小型SAR衛星「ワダツミ-II」の打ち上げに成功
ロケットラボは2026年11月3日(日本時間)、ニュージーランドのマヒア半島にある第1発射施設LC-1Aから「エレクトロン」ロケットを打ち上げ、QPS研究所の小型SAR衛星「QPS-SAR20号機」(愛称「ワダツミ-II」)を高度約575キロメートルの軌道に投入することに成功した。打ち上げから約50分後に衛星はロケットから分離され、その約30分後には初交信が確認された。各機器は正常に動作し、衛星の状態も良好であると確認されている。今後はアンテナの展開と初画像の取得を目指すという。
今回の打ち上げは、QPS研究所が構築を進める小型SAR衛星コンステレーションを構成する1機の投入である。ロケットラボがエレクトロンでQPS-SARを軌道へ運ぶのは今回で10回目にあたり、これまでの専用打ち上げはいずれも成功している。3号機以降の商用機は軌道ごとに日本神話の神の名を冠しており、ワダツミ-IIは2025年5月に打ち上げられた10号機「ワダツミ-I」と同じ軌道面に入った2機目であることから、この名が付けられた。ミッション名の「The Sea God Surveys(海の神が見渡す)」も同じ愛称に由来する。エレクトロンとしては通算99回目、ロケットラボとしては2026年で20回目のミッションであり、通算100回目の打ち上げが目前に迫っている。
軌道傾斜角は、アジア太平洋地域の観測頻度を高めるように設定されたとされる。特定の地域を繰り返し観測しやすい配置にする狙いがあると考えられ、QPS研究所がこの地域の観測需要を重視していることをうかがわせる。宇宙産業の側から見ると、衛星を数多く並べるコンステレーションは、個々の衛星の性能だけでなく、打ち上げ機会を継続的に確保できるかどうかで計画の進み方が変わる。QPS研究所は2028年5月末までに24機、2030年にはさらに機数を増やす目標を掲げており、今回の後もエレクトロンによる8回の専用打ち上げが予定されている。ロケット側の打ち上げ頻度と衛星の製造・打ち上げ準備のペースが噛み合うかが、コンステレーション全体の工程を左右する要因になると考えられる。
製造業の視点で見ると、小型SAR衛星はアンテナ、電源、通信機器、構造部材など多くの部品と装置の組み合わせで成り立つ。衛星の機数を増やす計画は、同じ仕様の部品や装置を安定して量産できるサプライヤーへの需要につながる可能性がある。ただし、今回の記事は個別部品の調達や発注には触れていないため、具体的な受注機会があるとは断定できない。日本の部品メーカーが関わるには、まず衛星の標準化や量産体制に対応できるかを見直すことが現実的だと考えられる。次回のQPS-SAR19号機「ヤマツミ-II」は日本時間11月14日以降に打ち上げられる予定であり、その進捗も合わせて追う価値がある。
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出典:sorae




