インド、次世代測位衛星「NVS-03」の打ち上げに成功 衛星不足が続くNavICの再建へ
インド宇宙研究機関ISROは日本時間2026年10月31日、「GSLV-F18」ロケットを打ち上げ、搭載した測位衛星「NVS-03」を所定の軌道へ投入したと公式サイトで報告した。NVS-03は、インドの地域航法衛星システム「NavIC(ナビック)」を構成する次世代測位衛星「NVS」シリーズの3機目にあたる。GSLVとしては通算20回目の飛行でもあった。
NavICは位置・航法・時刻(PNT)の情報を提供するシステムだが、今回の打ち上げ前は測位に必要な最低4機の運用衛星がそろっていなかった。インド政府は2026年に入り、運用中の衛星は「IRNSS-1B」「IRNSS-1I」「NVS-01」の3機だけで、NavIC単独の測位サービスは提供できず、時刻サービスのみが機能していると説明している。衛星が減った背景には、老朽化や原子時計の故障に加え、補充衛星が運用軌道に届かなかったことがある。2025年1月に打ち上げられたNVS-02は静止トランスファ軌道への投入までは成功したが、軌道を引き上げるエンジンを作動させられなかった。ISROの調査委員会は、エンジンの酸化剤ラインにある火工品バルブに駆動信号が届かなかったことが原因だと結論づけ、冗長性を高める対策を講じたとしている。
NVS-03はインド国産と海外調達の原子時計を搭載し、従来のL5とSに加えて新たにL1信号を送信する。カバー範囲はインドの国土と、国境から約1500kmまでの範囲とされる。ただし、打ち上げ直後の衛星はまだ戦力ではない。推進系を使って軌道を上げ、所定の地球同期軌道へ移ったうえで、サービス開始前の検証を完了させる必要がある。インド政府によれば後続の「NVS-04」「NVS-05」も開発が進んでいるため、今後は衛星を継続的に補充できるかどうかが問われることになる。今回の失敗が推進系の小さな点火部品に起因していたことを踏まえると、衛星の信頼性は機体全体の性能だけでなく、弁や火工品といった個々の部品の品質と冗長設計によって左右される、と読める。
日本の製造業の視点では、静止軌道衛星の推進系に使われるバルブや配管、原子時計まわりの精密部品、宇宙環境に耐える電子部品などは、日本の部品・装置メーカーが強みを持つ分野と重なる可能性がある。一方で、今回の記事はインド政府と海外調達の枠組みに関する情報が中心であり、日本企業がどの工程で関わりうるかまでは示していない。そのため、まずはNavICや同系統の衛星計画が求める部品の信頼性基準や、軌道投入後の検証で必要となる計測・試験技術を把握することが現実的だと考えられる。補充計画が続くなら、長期的に安定して求められる部品の供給機会も生まれる可能性がある。
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出典:sorae





