中国CAS Space、「Kinetica 2」2回目の打ち上げに成功 「千帆」の衛星18機を軌道投入
イメージ CAS Spaceは2026年11月3日(日本時間)、酒泉衛星発射センターから「Kinetica 2(力箭2号)」ロケットを打ち上げ、搭載していた衛星インターネット「千帆」の衛星18機を予定の軌道へ投入したと報じられた。Kinetica 2としては3月30日の初飛行に続く2回目の飛行で、衛星コンステレーションの本格的な構築を担う初めてのミッションでもある。
Kinetica 2は、ケロシンと液体酸素を使う2段式の液体燃料ロケットである。全長は53メートル、打ち上げ時の総重量は625トンで、直径3.35メートルのコア機体の両側に同径の液体ブースターを2基束ねた構成をとる。高度500キロメートルの太陽同期軌道に8トン、高度200キロメートルの低軌道に12トンを運ぶ能力があるとされる。第1段とブースターにはYF-102エンジンが計9基、第2段には真空用のYF-102Vが1基搭載されている。一方の千帆は、上海垣信衛星科技が構築を進める低軌道の衛星インターネット網である。2026年末までに324機で全世界をカバーする第1段階を目指し、全体では1万5000機以上の配備を構想している。衛星の数が多くなるほど、打ち上げ機会をいかに確保するかが重要になる。
今回の打ち上げで特に注目されるのは、18機が一つの分離機構を共有し、一度の解除でまとめて分離された点である。分離の回数を減らすことで、失敗のリスクや機構の重さを抑えられるとしている。大量の衛星を短期間で軌道に送り込むには、一機ずつ分離する方式よりも効率を高める工夫が欠かせないことを示す事例だと考えられる。また第2段は初飛行より長く慣性で飛行したのち再着火しており、その間は小型スラスタを断続的に噴射してタンク内の推進剤を底に寄せた。再着火を安定させるための推進剤管理の工夫だと読める。さらにCAS Spaceは浙江省紹興市の工場でKinetica 2を年12機生産できる体制を整え、将来は年20機まで増やす計画である。第1段のコア機体とブースターをまとめて回収する技術の開発も進めており、量産と再使用の両面で機体の供給を増やそうとする動きがうかがえる。
日本の製造業、とりわけ部品・装置・素材を手がける企業にとって、この記事から読み取れるのは、衛星の大量展開と量産の両立に向けて需要の方向が見えつつあるということである。分離機構や推進剤の管理、タンクやエンジン周辺の精密部品、構造材料といった領域は、今後も安定した品質と供給量が求められる可能性がある。年12機から20機への増産計画は、同じ部品を長期にわたって安定して供給できる体制が重視されることを示すと考えられる。ただし、元記事は中国国内の打ち上げを伝えるもので、日本の企業がどの程度この供給網に関わりうるかは記事からは分からない。取引を検討する場合は、輸出管理や取引先の条件を事前に確認することが前提になる。一方で、衛星を大量に生産し、一度に分離するという考え方は、国内の衛星・ロケット関連事業にとっても参考になるだろう。
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出典:sorae



