QPS研究所、仏宇宙企業と基本合意 2029年以降に「マイア」ロケットでQPS-SAR打ち上げへ
イメージ 日本のQPS研究所がフランスの新興ロケット企業MaiaSpaceと、小型SAR衛星「QPS-SAR」の打ち上げサービスに関する基本合意を締結した。2029年以降、マイアロケットを用いた複数の打ち上げが予定されており、衛星コンステレーション構築に向けた重要な打ち上げ枠を確保したことは、衛星地球観測サービスの実現に向けた大きな前進である。
QPS研究所が進めるQPS-SARコンステレーション計画は、電波を用いてほぼ全天候下で地表観測を行うSAR衛星の複数機運用を基軸としている。雲や噴煙の影響を受けず、昼夜を問わず撮像できるSAR技術の特性を活かし、2028年5月までに24機、その後さらに36機を超える規模への拡張を計画している。このコンステレーション構築により、世界のほぼどこでも平均10分間隔での準リアルタイム観測データ提供を実現する方針だ。こうした野心的な計画を実現させるには、多様な打ち上げ形態に対応できる信頼できるロケット企業が不可欠であり、今回の合意で専用打ち上げと相乗り打ち上げの両方に対応する打ち上げ機会を確保したことは戦略的に極めて重要である。
マイアロケットはアリアングループ傘下で2022年に設立されたMaiaSpaceが開発している小型ロケットで、ヨーロッパの大型ロケット開発を支えてきた技術基盤を活かしている。アリアン6などで蓄積された知見と開発経験を転用しながら、フランス領ギアナのギアナ宇宙センターから打ち上げられる予定である。全長約50メートル、直径3.5メートルの2段式で、液体酸素と液化バイオメタンを推進剤として採用し、第1段の再利用オプションと補助ステージのコリブリにより柔軟な構成で対応する。低軌道へ最大4000kgまでの打ち上げが可能で、太陽同期軌道から傾斜軌道まで幅広い軌道に対応する柔軟性を持つ。開発にはフランス、ドイツ、スペイン、スイス、ベルギー、オーストリア、ポーランドの産業パートナーが関わっており、ヨーロッパ全域の産業基盤を活かした構成になっている。商業運用は2028年から開始予定で、2030年代初頭までに年間約20回の打ち上げを実現することを目指している。
小型衛星コンステレーション市場の拡大に伴い、多様な打ち上げニーズに応える新世代ロケットの登場が相次いでいる。欧州の新興企業によるマイアロケットの展開は、こうした市場の成長と打ち上げオプションの多様化を象徴する動きである。小型衛星製造、ロケット運用、地球観測データサービスというエコシステムの形成が加速する中で、日本の部品メーカーや装置サプライヤーにとっては、小型衛星の大量製造と関連ロケットの定期運用に伴う部品・素材需要の拡大が期待される。同時に、ヨーロッパの新興ロケット企業とのサプライチェーン構築に対応する準備が、今後の競争力を左右する重要な課題になると考えられる。
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出典:sorae



